君は僕に似ている【白河勝之】

Episode last. True love ページ50

時は流れていく。

流れ星のように、速く、儚く。



そしてやって来た春。



なんでだろう。

すごく切なくて、儚くて、愛しい。


それもこれも、報われない感情だと分かっているからなのかな。

どう愛していても、愛されていても。


「お母さんとお父さん、再婚することになったの」


複雑な心境が混ざりあったあの時。

再び、脆く、崩れそうになる。


桜の木は咲き誇る。反対に、俯く心。

目を細めれば、またあの時みたいに涙が零れ落ちそうになってしまう。

どうすればいいのか分からない。分かるはずがない。『答え』なんてものがないのだから。


「喜ぶべきなんですか…？それとも…」


その後の言葉が出てこない。

言葉の代わりに出てくるのは、涙。



…春風が全部、連れ去っていけばいいのに。



ふと見えなくなる桜。




「それでも、愛する…それだけのこと」


さっきまで目の前にあった桜の木は、真上に見えた。



触れたい。

触れたい。


そっと、震えるように絡めた指。




ひらりと花びらが落ちて、肩に着地する。



あぁ、そうか…。

そういうこと…か。


捨ててしまおう。あんな悲しい気持ちは。


どんなに報われなくても、認められない事であっても。


禁忌であろうと。


これからもずっと、貴方だけを愛しましょう。




これが、私達の望んだ『愛』の形。


歪んだ愛でも、脆く儚い幸せでも…。


貴方が居れば、私は、俺は、貴方を好きでいられる。

最後に心を失くす事もなく。



そして、かけがえのない貴方へ伝えましょう。




『貴方の事が、大好きです』







もし『真実の愛』を忘れてしまったならば。


また貴方と語り合いましょう。

共に探しましょう。




全ての『愛』が『幸せの架け橋』となれるように。

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