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35.走れ ページ38

「京華が…いない?!」

「ちょっと目を離した隙に居なくなってたの…どうしよう、あたしの所為で京華に何かがあったら……!!」


柊の瞳から、大量の涙が流れてくる。


「日奏…!」


カルロスが、膝から崩れ落ちそうになった柊を支える。

それでも柊の涙が止まる事はない。


「うっ…カルロ…ス……」

「大丈夫。日奏は悪くない。日奏が自分を責める必要なんてないから」

「……っ……!」


唇を噛みしめる。異変に早く気付くべきだった。少しでも話を聞くべきだった…!



でも、今更後悔しても時間が戻る訳ではない。
今は京華を探すしかない。





頭の中は、京華の事でいっぱいだった。









どうか無事であってほしい。それだけ。






訪れる沈黙。


酷く長く感じる時間。






誰も何も言えずに、口ごもる。







その重苦しい空気を変えたのは、成宮だった。


「三手に分かれよう。奏ちゃんとカルロは学校周辺を一緒に探して。俺はあっちの方を探してみるから」

「分かった」

「日奏ちゃん、京華は大丈夫だから。だから…泣かないで」


いつもとは違う口調で。
成宮が歩み寄ってきて、肩に手を置く。

低い声で。



「白河。…見つけて、伝えてきなよ。今の京華を救えるのは白河しか居ないから…」


その一言で、大きく目を見開く。


「あ、ダメだったら俺が貰っちゃうからね!」


そう言って、またいつものドヤ顔をする成宮。







迷いはなかった。


背中を押され、陽が沈む世界を走った。






靴が砂にまみれても、それを払うことなく。

脚がどんなに痛くなっても、走り続けた。






脳裏に浮かぶ彼女の姿。


間違いなんかじゃなかった。

彼女の名前も、記憶の片隅に残っているあの笑顔も。


全て似ていた。同じだった。




これから、伝えなきゃいけない事がある。


偽りのない、本当に伝えたい事。




やっと、やっと。



伝えられる。





太陽は完全に沈みきっていた。

目を凝らさなければ、人が居るかどうかも分からない。



走って、走って、走り続ける。




只々走り続けて辿り着いた所は、草が生い茂る野原。

荒い呼吸を整える。

吐いた息が、白い気体となって空気に溶け込む。


辺りを見回してみると。




前方の方に誰か居るのが見えた。


しゃがみこんでいて顔は見えないけれども、俺は確信した。



どうか聞いて欲しい。溢れかえるようなこの想いを。

番外編. ジューンブライド→←34.悲しみと、後悔と。


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希望(プロフ) - アメジストさん» ありがとうございます<(_ _)> (2017年1月3日 17時) (レス) id: 81354004c7 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - てかものすごい絵上手ですね (2017年1月3日 16時) (レス) id: 36e88b3d43 (このIDを非表示/違反報告)
希望(プロフ) - アメジストさん» イケメンにし過ぎました(笑) (2017年1月1日 23時) (レス) id: 81354004c7 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - 白河メチャイケメンで泣けるww (2017年1月1日 22時) (レス) id: 36e88b3d43 (このIDを非表示/違反報告)
希望(プロフ) - はい。この小説を作った後にトーカちゃんの事を知ったので、物語の中盤で髪型を変えさせて頂きました。私のミスです!今後このような事が起こらないように気をつけます(><) (2015年7月13日 21時) (レス) id: b0e2c90b13 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:希望 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2014年9月14日 21時

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