26.深淵 ページ28
部屋の中で、いつもみたいに音楽を聴く。
全ての音をイヤホンで遮断するかのように。
なるべくあの事を考えないように…。
ー
最近京華の様子が明らかにおかしい。
何があったのかは分からない。それがかえって不安になってくる。
部屋のドアを開けると、京華は壁に寄りかかってイヤホンを着けていた。
音楽の世界に没頭しているようだ。
京華の名前を呼んだが、返事が返ってこない。完全に入り込んでるな。
仕方なく、京華のもとへ行く。
それから、耳からイヤホンを引き抜き、iPodごと没収する。
何の前触れもなく突然やったものだから、京華の肩がビクッとはねる。
「なっ…白河先輩…!」
「返してください」と目で訴えているが、それどころではない。
手の中のiPodを取り返そうと伸ばそうとした京華の手を、もう片方の手で掴む。
京華のすぐ後ろには、壁。
その手を掴んだまま、トン…と壁に。
驚いて顔を赤くする京華。
「っ…!」
「何かあった?」
京華を見据える。京華は顔を逸らそうとする。
「…」
「言えない事なら、無理して言わなくていいから」
「…すみません…これは言えません…なんていうか、自分でも分からないんです…」
俯いて、その顔は見えなくなる。
この子は今、何を悩んでいるんだ。
相談に乗ってやりたいというより、悲しい顔をさせたくないという想いが強くなった。
掴んでいる自分の手に、少し力を入れる。
「辛くなったら…いや、辛くなる前に言え。俺が側にいてやるから…」
自然とそんな言葉が出てくる。
自分でも驚くくらい、すんなりと。
「はい…」
顔を上げて、ほんの少しはにかんだ笑顔を見せる。
「やっぱり白河先輩は、おにいちゃんみたいでカッコいいです」
そんな事言われたら…。
かつていた妹の事を思い出す。
いつも笑っていた妹。あの時は、瞳から大粒の涙を流して泣いてたんだっけ…。
俺の事を「おにいちゃん」っていつも呼んでいた。
「…あ、そろそろiPodとイヤホン返してください」
「あぁ、すまなかった」
iPodとイヤホンを返すと、イヤホンのコードをグルグルと巻き始める。
「なんかすっきりしました。ありがとうございます」
「俺は何も言ってない」
「それでも、嬉しかったです」
もとの京華に戻ったから安心した。
いつもの京華が…。
…だから。
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希望(プロフ) - アメジストさん» ありがとうございます<(_ _)> (2017年1月3日 17時) (レス) id: 81354004c7 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - てかものすごい絵上手ですね (2017年1月3日 16時) (レス) id: 36e88b3d43 (このIDを非表示/違反報告)
希望(プロフ) - アメジストさん» イケメンにし過ぎました(笑) (2017年1月1日 23時) (レス) id: 81354004c7 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - 白河メチャイケメンで泣けるww (2017年1月1日 22時) (レス) id: 36e88b3d43 (このIDを非表示/違反報告)
希望(プロフ) - はい。この小説を作った後にトーカちゃんの事を知ったので、物語の中盤で髪型を変えさせて頂きました。私のミスです!今後このような事が起こらないように気をつけます(><) (2015年7月13日 21時) (レス) id: b0e2c90b13 (このIDを非表示/違反報告)
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