君は僕に似ている【白河勝之】

Episode2.寂しがり屋の妹 ページ45

久々の高熱だからだろうか。酷く頭が痛い。

最後に熱を出した日は、青道との練習試合の時だっけ…。

結局あの日は、青道との試合が出来なかったとか。

白河先輩の言う事を聞いておいて良かったな…なんて。


…あぁ、頭が痛い。

今は身体をゆっくり休める事だけを考えよう。



前の出来事もあって、お粥は意地でも食べない。何があっても食べない。


冷えピタは貼る。…いや、貼ってもらった。誰にって？白河先輩にです。強制的に貼られた。

「冷たいのが嫌」と訴えるも、「駄目だ」の一言でシャットアウト。


軽い力勝負の末、あっさり負けた。

異性の力には敵わないという事を、身をもって知った瞬間だった。


冷えピタを貼ってもらった後は暫くベッドで安静にしている。


午前中は高熱と頭痛に苦しんでいたが、午後はそれも大分治った。

ずっと眠っていた。

重い瞼をそっと開ければ、横には白河先輩がいた。

よっと起き上がる。


「…本当よく体調崩すよな」

「何なんでしょうね。体調管理が出来てないんですかね」

「いつも気を配ってるのに？」

「とにかく、何処かしらが欠けてたことに違いないと思います」


何処かに原因があるとしたら…何だろうか。
心当たりは全くないが。


ベッドに浅く腰掛ける白河先輩。私は上体だけ起こしている。何も言葉を交わさない。

私のやや荒い呼吸だけが耳に届く。


何も言葉を交わさないで、それぞれ何かをしているのも決して悪くない。


暫く何も交わさない時間が続く。

側にいてくれるだけでいい。それだけで安心する。


…先輩には照れくさくて言えないけど。


ふうっと軽く息を吐く。

もうちょっと寝ようかな…。



白河先輩がすっと立ち上がった。




もう行っちゃうの…？



なんか、すごく寂しい。







1人じゃ嫌だ。



気がつけば、白河先輩の服の裾を握っていた。



「行かないでください…」

「…」


白河先輩は呆れたように微笑んで、私の頭を軽く撫でた。

さっきのようにベッドの横に腰掛ける。


「寂しがり屋だな」

「体調を崩してる人によくあるんですよ…いや、本当に寂しかったです。何処か遠くに行っちゃうみたいに感じて」



本心のままに、驚くくらいすんなりと。



「絶対に離したりしないから」


そう言ってくれた。とても嬉しかった。

心の奥から安堵した。


静かな部屋の中で、ゆっくりと目を閉じた。

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