猫なで声に油断ならぬ。*M.A* (ページ41)

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私を見下ろす瞳はみたことのない瞳。強いていえばあの大人のキスをくれた時の雰囲気に似てる。

顔の両脇に肘をついて、乱れた私の前髪を解きながら、微笑む姿はまるで別人。大人の男の人。

「やっぱりやめよ。」

にっこり微笑むと、私から離れて起き上がらせる。頭をぐしゃぐしゃに掻いて苦しそうにため息をついた。
なんだろ？ため息ばっかり。

「Aさんとはちゃんとしたいから、今日もしない！」

「それって、」

「魅力がない訳じゃなくて、寧ろありすぎてすぐにでもヤ・・いや！えっと・・」

もしかして雅紀くんも雅紀くんなりに悩んでたのかな？

「セッソウないと思われるのが嫌だから。それにきちんと俺のこと好きになってもらってからって・・」

お互い思いすぎて考えすぎて、行き違いになってたんだ。

「Aさんに好きって言ってもらえてからにしようって。」

早く気づいて、伝えてあげたらよかった。そうしたらこんなややこしいことにならなかった。

伝えたいことはきちんと言葉にしなきゃ。

「好き・・雅紀くん。」

乱れた髪の隙間からみえたのは驚いたまん丸な瞳。黒目がちの可愛らしい瞳が一瞬で色を帯びたと思ったら、目の前に雅紀くんの顔が広がる。

「言っとくけど、言わせたんじゃないからね？」

「覚悟してよ」囁いて私をベッドの海に沈めたその人はまるで・・・

『猫の肌を狙う如し。』

・・・end??