猫なで声に油断ならぬ。*M.A* (ページ40)

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「泣き止んだ？」

「え？・・うん。」

「コーヒー飲んで、落ち着こう。」

雅紀くんはネクタイを解きながらキッチンらしきところへ向かう。ずっと背を向けたまま。

『わかったよ』って、どういう意味？

「雅紀くん、さっきの・・」

「落ち着いたら送るよ？明日も仕事でしょ？」

「待ってよ、何も解決してないのに！」

「解決？してるでしょ？Aさんには俺じゃなかったんだ。」

カップにスプーンがぶつかる音がする。とっくに出来上がったはずのコーヒーの湯気がみえる。でも雅紀くんは動かない。

「俺のこと、嫌いになったんでしょ？デリカシーないし、バカだし、早く別れた方がAさんのために、」

「バカっ！！」

「それ今自分で言った・・へ？」

「逆！！嫌いになれないから困ってんの！！」

その背中に抱きついた。ずっとしたかった。雅紀くんのにおいを抱きしめることが、夢だったの。

「あんなにひどいこと言われても、傷つけられても、やっぱり好きなの！わかんないのは自分のこと！素直になれないのが・・嫌で・・その・・」

笑われてる。恥ずかしい。顔がポカポカ熱い。みられたくなくて腕に力を込めた。

雅紀くんのお腹に組んだ私の手に重なる雅紀くんの手。言葉より伝わってくる。

「よかったー！」

パチンって叩かれて、痛くて手を解いたら。
今度は雅紀くんに抱きしめられた。

「やっぱりAさんがいい・・だぁいすき♡♡」

『まぁくん』の声に安心して気を抜いてた。気づいたらベッドに組み敷かれてた。