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どんどん引っ張られてくなか、振り返ったらナンパ野郎は嬉しそうに手を振ってて。頭が混乱してきた。
あんなに貶しといて、笑顔？
とんでもない性格の持ち主？
わからないことだらけの頭は雅紀くんがタクシーを拾ったあたりでようやく我に返った。
ゆっくりと走り始めたところで、雅紀くんがまたため息をついた。なんだろ？怒ってる？
恐る恐る名前を呼んだらいつもの表情。でも少し困った顔。
「ごめんね？Aさん。」
「え？何が？」
「ニノ・・いや社長のこと。アイツ口は悪いけどいい奴なんだ。気を悪くしたよね・・」
「う、ううん！全然っ！！」
「ホント？」って覗き込んだ瞳がうるんでみえる。ヤバイ、可愛い・・
「Aさんのこと、嬉しくてさ。ついつい仕事中に喋っちゃったら『みんなに紹介するのが筋だろ』って急に上司面してきてさぁ！」
全く！って言いながらも嬉しそう。ホントに仲がいいんだね。
「でもさ！あんなにAさんのこと悪くいうなんて・・許せない！！」
「まぁ確かに、言ってること間違ってなかったし・・」
「そうなんだよ！」
・・・え？
「Aさんさ、そんなに大きそうじゃないけど、そこから育てるのが俺の役目？みたいな・・」
・・・最低。
全部ぶちまけといて口を塞いでも遅い。
「停めてください。」
「え？・・ごめん！ごめん！つい口が滑って・・いや、ウソ！ウソです！！」
天然？それともわざと？どちらにせよ、こんなに貶されたのは初めて。しかも好きな人に。
辛うじて知ってる場所だから、とりあえず駅を目指す。後ろの方で呼んでるけど、そんなの知るもんか！客を降ろしたばかりのタクシーを見つけて乗り込む寸前。
冷たい、大嫌いになりかけてる大好きな人の手に掴まる。
どうして逃げ切れないのかな？
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作者名：蒼しょこら
| 作成日時：2017年11月21日 8時
