猫なで声に油断ならぬ。*M.A* (ページ36)

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美那ちゃんに散々冷やかされて、「もう！」って怒ってはみたものの嬉しくて仕方なくて。まだキスしかしてないのに・・なんて考えたらキスを思い出してニヤニヤ。
電車のなかだってことを忘れてた。

慌てて降りるふりをして隣の車両へ。気を付けなきゃってため息をついたらスマホが震えた。

お疲れ様。Aさん家の駅前で飲んでるんだけど合流しない?

雅紀くんの名前にまたニヤニヤしそうになってマフラーを口元まで上げた。

Aお疲れ様。今帰りの電車の中。お邪魔にならない?
もちろん!紹介したい人もいるし、おいで?

ただ嬉しくて、二つ返事で返信。送られてきたお店の情報。一度行ったことのあるお店で少し敷居の高いお店だったなって思い出す。

もしかして・・どこかのお偉いさんと飲んでるとか？その人に私を紹介？不安と緊張で少し気持ち悪い。けど雅紀くんに会いたい。葛藤なんて程じゃないけど会いたい気持ちが勝って、店の前に立っていた。

とりあえず到着の連絡をしなくちゃ。
スマホに触れようとしたら聞き覚えのある声が私を呼び止めた。

「お姉さん、今夜もひとり？」

どうしてこんなところにまで？雅紀くんと知り合いみたいだったけど、もしかして仲のいい友達とか？それともこの人も食事に誘ったとか？

「Aさーん！おかえりぃ♡」

「た・・ただいま！」

「待ちくたびれて首がのびのびー！行こ行こ♡」

一日ぶりなのに何日も離れてたみたいに感じる。抱きしめたいのを我慢して差し出された手を握ろうとしたら、

「ちょっと待てや。」

ナンパ野郎が怖ーい顔して睨みながらいつの間にか前に立ち塞がってた。