猫なで声に油断ならぬ。*M.A* (ページ14)

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＊4＊休息。ページ14

その日からまぁくんが現れることはなくなった。
とんでもない喪失感と虚無感。
あんなに張り切ってた仕事も上の空。部長に叱られても上の空。隣で美那ちゃんが慌ててるがわかってても、だ。

いなくなって初めてわかる、まぁくんの存在。
元彼なんかより、ずっとずっとなくてはならない存在になってたんだ。

「先輩、大丈夫ですか？」

「・・うん。」

「顔色悪いですね？食べてます？」

「うん、昨夜は食べてないけど。」

わざとらしくずっこけてみせた美那ちゃんは、何してもやっぱり可愛い。「それは食べたとは言いません！」って膨れ顔。また可愛い。

「じゃあ行きましょ。」

「・・は？どこに？今仕事中・・」

「部長！！」

美那ちゃんが、真面目な顔で部長のデスクへ歩いてく。オフィス中の注目を集めてるからか部長も緊張した顔。

しばらくして部長の表情が強ばってく。

「何？！」

「部長、声を抑えてください。」

「ああ・・」

しん・・と静まるオフィス。キーボードを叩く音と、電話対応中の誰かの声。それでも皆が耳を澄ませてるのがわかる。

「では、いいですね？」

「もちろんだ。」

何やら話がまとまったらしい。美那ちゃんは相変わらず真面目な顔のまま。
「どうしたの？」って聞く間もなく美那ちゃんに立ち上がらせられる。「行きますよ」って耳打ちしてオフィスを出ていく。

振り返り様みえた部長の顔は、何だか感慨深げ。

・・どういうこと？
美那ちゃん、部長に何て言ったの？嫌な予感しかない・・