猫なで声に油断ならぬ。*M.A* (ページ12)

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まぁくんは「熱い！痛い！」って言いながらも美味しそうに食べてくれた。

「猫なのに猫舌じゃないの？」って聞いたら「俺は特別なの」って笑いながらおかわりまでしてくれた。

よくわからない感情が、ぐるぐる渦巻きながら姿を変えていく。ぼんやりとみえてきたそれは、あってはいけないことで。振り払うように空になったお鍋をシンクに運んだ。

深呼吸して、みかんを二つ持ってリビングへ戻る。

新調したばかりのこたつでまぁくんが気持ち良さそうにゴロゴロしてる。
急に出てきた？いや初めてかも？この猫感。

「食べる？」

「うん、食べる♡」

「むける？」

「そのくらいできる・・って言いたいとこだけど(笑)お願い♡」

「しょうがないなぁ」って言ってはみたけど、なぜか内心嬉しくてたまらない。

一房ずつ分けて、綺麗にむけた皮に包んで手渡す。
嬉しそうに、時々傷に滲みるのか痛そうに食べてる。

可愛い。
それはペットに感じるものと一緒・・のはず。

「聞かないの？」

唐突にまぁくんが喋り出すから、中途半端にみかんを飲み込んでむせた。

微かに聞こえた「ごめんね」より、少し悲しそうにみえるまぁくんの顔に胸が痛む。

「・・何を？」

「俺がここへ通ってる理由。」

「・・え？」

「Aさん、いつまで経っても聞いてくれないからさ。」

テーブルに顎を載せたまま訊ねる。
何でかな？ずるいって、思うのにいえない。

違う言葉が出てきてしまいそうで。