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私の最初の見た世界は真っ白だった。
そこには何もなかった。
いや、真っ白だったかな。黒だったかもしれない。
でもそこは光が射しててすごく眩しかったっていうことは覚えてるな。
私は最初、『感情』もなかった。
嬉しい、温かい、眩しい、悲しい、寂しい、そんな感情はなかったんだ。
ぼやぁっと周りを見渡していると、
「これでいいのかな、」
そんな声が聞こえた。
男の人の声だった。
声はそこまで低くなくて、少し高めの若い男性の声。
声のした方に顔を向ける。
「うわぁこれどうやって操作したらいいんだ、もうちょっと勉強すればよかったな。
えっと、説明書…。」
光の向こうでゴソゴソと音がする。
私が見えているものは、眩しい光の向こうが砂嵐のようになっていて、そこにかすかに男の人の姿が映っている。
なにか本を読んでいる。
あれが、説明書?
「あぁ、わかったぞ。これをこうして…。
よしっ。ミク、これからよろしくね。」
『ミク』、そうこれが私の名前。
私はVOCALOIDと言って、歌を歌うために生まれたのだと後に思い出した。
「ミク、聞こえてるかな。
僕ね、ミクの歌声に惹かれちゃったんだ。創作意欲が湧いちゃって、抑えられなくなって、
君を起こしちゃった。
僕のために、歌ってくれるかな。」
「なんて、聞こえるわけ無いか笑 よし、ご飯でも食べてくるか。」
そう言って、『マスター』はどこかへ行ってしまった。
いいえ、聞こえていますよマスター。
そうだったねマスター。私は歌姫。マスターの作った歌、早く歌いたいな。
起こしてくれてありがとう、マスター。
マスターはどんな世界を見せてくれるのかな。
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作者名:姫愛羅 | 作成日時:2023年8月23日 19時