仮の彼氏。(今吉翔一)

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友人に言われるがままに

押されるがままにこんな所まで来てしまった。

今吉君の所まで。

今吉「なんや珍しいのぉ。

Aちゃんからわしんとこ来るなんて」

「どないした？」

貴方「…..うん」

今吉「….」

貴方「…..」

どうしよう、緊張する。

恐い。

今吉君、待ってくれてるのに言葉が…

何も出て来ない。

……….

今吉「A、すまんけどわしそろそろ部活行かなあかんねん」

「何かわしに言いたいことあるんやったら…

貴方「そんなもの無い！」

焦りで思わず出てしまった自分の言葉に自分でも驚いた。

今吉「え？」

「ほな何しにわしんとこ来たん」

貴方「友達に無理矢理ここまで連れて来られたの！」

「私の意思じゃない。」

「今吉君に会いたかったわけじゃないから。」

今吉「は？」

貴方「だってまだ振られる心構えも出来てないし、

確かにちょっとパンケーキの魅力にその気になっちゃったけど」

今吉「え?ぱんけーき？」

貴方「だけどちゃんと考えてみたらやっぱり告白して振られた代償がパンケーキなんて割に合わないし、」

今吉「ちょ、Aちゃ…?

貴方「だから今吉君にはまだ告白しないし」

「だから今吉君に用事なんて無いし….」

今吉「…..」

うん、そうだよね、

意味わかんなくて黙っちゃうよね。

私自身、何が言いたいのかさっぱりわからないんだもん、

今吉君が”は？”ってなるのも当然。


極度の緊張と自分の発した訳の分からない言葉に混乱して

誰かが私の事を操って私を喋らせてるんじゃないかって思うような言葉が

話の着地点もわからないままだらだら口から流れ出てしまった。

恥ずかしい。

今吉君のことがやっと好きだと気付いたのに

その好きな相手に告白する事どころか

醜態を曝してしまうなんて

も、本当に絶….

今吉「つまり、Aちゃんはわしの事が好きっちゅう事か？」

貴方「へ？」

ぎゅうううううう

告白は失敗だった

だって好きって言えなかった

なのにどうして

今吉君は私の気持知ってるの

どうして抱きしめられてるの？

今吉「パンケーキて何？」

貴方「え?」

今吉「だれがAちゃんを誘惑してきたん？」

貴方「え?」

今吉「食いもんで誘惑するやなんて...

パンケーキやったらわしが奢ったるから、彼氏はわしにしとき？」

貴方「え….」

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