仮の彼氏。(今吉翔一)

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お昼の食堂は当然のごとくたくさんの人がいて

私たちがキスをしていたのも何人か見ていて、

その後私が彼を突き飛ばした時は、

私の嫌と言った声が思いのほか大きかったせいで

食堂中に注目されてしまっていた。


私のクラスの人も、もちろんお昼を食堂で食べる人はいて、

だから

お昼が終わって5時間目が始まると、

教室で微妙な視線を感じる事になった。

休み時間になると、その視線は更に増えた。

次の日には、

私が恋愛事に疎い事を知っている友人でさえ、

今吉君が彼氏なんてAは上物狙いだったんだねぇなんて言って来て、

貴方「今吉君って誰？」

なんて聞き返そうものなら、

まだ喧嘩中なの！？いい加減仲直りしなよ！

別れる事になったらもったいないよ！？

なんて言われるのだ。

私が突き飛ばした相手が今吉君という人だと言う事はそのとき解ったけれど、

解ったところで、彼は彼氏じゃないと訂正しても、

何言ってるの？

恥ずかしがらなくても良いじゃん、

いつから付き合ってるの？

と、

信じてくれない。

むしろ否定すれば否定する程

相手の顔はニヤついて、

何とかして付き合ってると言わせてやろうと必死になってくる。

貴方「はぁ〜…絶望だ」

そう呟くと、友人は、その口癖止めた方が良いよ？

卑屈だと今吉君に嫌われるよ？

なんて言うもんだから、

この言葉を言わせるような事ばかり言ってるのは誰だ、

お前だろう。と、叫びたくなる。

卑屈だと嫌われる？嫌われても別に良いよ、

彼氏どころか友人ですら無いのだから。

というか、

今まで友人だと思っていたこの目の前にいる人間も、

どうして私がこんなにも否定しているのに信じてくれないのか、

この話題を嫌そうにしているのに、

どうしてそれに気付かず話を続けるのか、

友人と思っていたけど、本当は友人じゃなかったのかもしれない。

私、軽く人間不信になりつつあるなぁと思った。

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