仮の彼氏。(今吉翔一)

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お昼

いつもの場所に今吉君は居た。

私が来た事に気付くと、

自分の座っているベンチの隣をぽんぽんと叩いて

「早よおいで」と、私を隣に座るよう促す。

私はいつもよりほんの少し距離を置いて彼の隣に座った。

彼はそれに気付いて

少し口を尖らせて言う

今吉「何やの、これ」

そう言って子犬が座れそうな程度の私と彼との間にできた小さな隙間を示す。

貴方「え」

今吉「もうちょいこっち寄り」

貴方「いいよ、ここで」

今吉「…何かあったん」

貴方「べたべたし過ぎって言われた」

今吉「ええやん別に、付き合っとんねんから」

貴方「でも、恥ずかしくて見てられないって」

今吉「ええことやん、」

貴方「どこが！」

今吉「せやってAちゃんは噂とか、周りに自分の事注目されるんが嫌でわしと付き合い始めたんやろ」

貴方「そだけど…」

今吉「せやったら周りがわしらん事見てられへんって状態はええ事やん」

貴方「確かに注目されないのは良い事だけど」

「でもこれは何か違うの！恥ずかしいって思われてるのは嫌！」

「周りにいちゃついてるとか浮かれてるとか思われたくない」

今吉「はぁ…前から思うとったけど、Aちゃん、周りの事気にしすぎちゃう」

貴方「そんな事ない…」

今吉「まぁAちゃんがこれよりわしに近付きとお無いっちゅうんやったらしゃあないけど」

貴方「….別にそういうわけじゃ…」

今吉「何？」

貴方「...なんでもないし…お腹空いたから早く食べたいっ」

今吉「あぁ、そやな」

「早よ食うてまわんと昼休み終わってまうな」

そうして食べたサンドイッチは

なんだか余り味がしなくて美味しくなかった。

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