序章*始まりの声 ページ2
Aside.
『上忍、ですか?』
五代目火影・綱手様は、大きくうなずいた。
「お前にしかできない任務がある。第七班の副担任として、アイツらのサポートをしてもらいたい。」
『暗部の任務はどうなるんですか?』
私の言葉を聞いた途端、綱手様は顔を顰めた。
「お前にはいい加減暗部を抜けて、上忍として任務を遂行して欲しい。暗部を続けさせたのはあたしの間違いだったよ…。」
私は首を振った。
『いいえ、間違いだとは思いません。それに今、暗部は絶対に必要な状況です。私は暗部のままで良いです。』
綱手様は、腕を組んだ。
「…A、なんでそこまでして暗部にこだわるんだい?上忍の方が裏仕事も無くて済むじゃないか。あたしはその方がAのためになると思って言ってんだ。」
私は綱手様の心遣いを無視することになるけど、
『私には裏仕事の方が似合ってますよ。とにかく、お話を受けるつもりは一切ございませんので。』
私はきっぱりと断った。
「待ちな!」
綱手様の声を無視して、私は戸を閉めた。
『はあ…。』
つい、ため息が漏れる。
異動の話は今回だけではなく、何度も聞かされていた。
なぜ綱手様は、暗部を抜けろと言うのだろうか。
分からない。
「…お前が、火影様が言ってた副担任?」
ハッとして顔を上げると、目の前にいたのは里一番の上忍、はたけカカシ。
話をバッチリ聞かれていたらしい。
『…。』
知らん顔をしてすれ違おうとしたら、ガシッと腕を掴まれた。
「俺もかなりイライラしてんのヨ。話が出たのがずいぶんと前だからネ。」
殺気。ピリピリ刺すような空気が漂う。
冷たい目で睨み付けてくる男。
『…知りません。離してください、痛いです。』
矢継ぎ早に言ってカカシを睨み返す。
「俺は火影様に話されてんの。けっこう前からね。任務受けたんデショ?なら従うのが当然だよネ?」
力がますます強くなって、私の腕がミシミシと音を立てた。
『話はされましたけど、任務を受けた覚えはありません。』
二人で言い争っていると、
「あたしが確かに命令したよ。」
いつの間にいた、綱手様が言った。
『なっ!?』
まさか、計られた…?
「ちょうど良いタイミングだな、カカシ。Aを連れて行ってくれ。そうでもしないとコイツは梃子でも動かん。」
火影様がニヤリと笑う。
「そうですか、了解しました。」
カカシにジロッと睨まれる。
『はあ…。』
連行されながら、私は溜息をついた。
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作者名:★Yume☆ | 作成日時:2016年11月19日 13時