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爆笑に近いような笑いを起こしたあと




「面白いね、いいよ

彼女からあなたに行ったら諦めるわ俺」







と言われ、




「最後に1回だけあなたから会いに行っていいよ」

と指定された日付を提示された。









そしてそれから1週間くらいあと



「お腹すいたなんか作って」

勝手に自分のものにした合鍵で無遠慮にAへ訪問。






呆気に取られた顔と着慣れた部屋着、

大好きな香りがブワァっと五感を刺激して




涙腺が緩みそうになったのを紛らわすために持ってきたレジ袋を彼女に押し付けると







「もう来ないのかと思った」


結局3週間も無視した形になってしまった彼女にそう言われた。







「なんで?
俺がさきこを大好きなの知ってるでしょ」




「そうだけど、、
…呆れてるのかと思った。自己管理の無さに」




「そんな訳ないじゃん。不法侵入して勝手に鞄に写真入れるやつの方が悪いよ」









「きっとその人に嫌われてるんだろうな私は」



「… …そんなこと考えたって意味ないよ」





当の本人は君が好きすぎるからしてたらしいよ。






もう犯人を知ってしまっている俺にとって、Aがそんな風に言っているのを聞くともどかしくて辛かった。









-






「ねぇ、聞いてる?」



「うんって言ったじゃん」



「聞こえなかった、もっとおっきく言って」









「この前さぁ!」


「うん!」




もっと大きく言ってって言ったら

叫ぶように喋りかけてきた彼女にニヤつきながら






「なに〜」


彼女のいるソファに向かう。









何の話かと思ったら



悲しそうに口角を上げながら淡々と話し始めたのは





「この世界の私への実際の評価は、

『あんな雑な合成写真で潰せる程度』だってことなのかなぁって」



こんな悲しくて怒り狂うような話









「考えすぎだよ」



「…。

ぁあ、泣きこど言っちゃった!ごめんね忘れて」








こんなにもAを蝕んで、追い込んでるアイツに黒くて重い感情が

足の先からどんどん湧き上がってきたけど








「ごめんごめん、なんか私弱ってんなぁ」


あはは、って笑いながら離れる目の前のAを見た瞬間そんな感情が飛び去って





急に抱き締めたくなった。





そうだ、取り繕うことを忘れた彼女は弱いんだった。







…今彼女はどんな言葉が欲しいんだろう。






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れんり。(プロフ) - みなさん» すごく励みになるコメントありがとうございます!こちらの更新を待って下さる間、冬萌を読んで過ごして頂けると嬉しいです (2021年1月11日 22時) (レス) id: f1c4f19e3d (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - お話読んで、泣きました。 このお話の続き読みたいです!! よろしくお願いしますm(_ _)m (2021年1月11日 9時) (レス) id: c7556a56f2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れんり。 | 作成日時:2020年8月16日 0時

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