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「ねぇ、聞いてる?」
「うんって言ったじゃん」
「聞こえなかった、もっとおっきく言って」
私はつけっぱなしのテレビの前のソファでスマホをいじり、裕太は料理してくれたからってことで後片付けをしてくれている。
「この前さぁ!」
「うん!」
もっと大きく喋れって言われたから
大きめに叫んでると
彼もキッチンで叫びながらも終わったのか
こっちにやってきた。
「なに〜」
「この前テレビで私の特集組んでもらったのね。」
「え、なにそれ見てない」
「まだOAされてないから」
「そなの?じゃいいや。それで?」
「うん、それで
注目の若手女優1位とか、好きな芸能人5位とか、憧れの体型顔共に堂々のトップ3入り、とかっていう題名がドーンってあったの」
「凄」
「いや、凄いよね。だからとってもありがたかったんだけど、なんか、自分はそんなんじゃないって自信無くしちゃった」
さっきソファからチラッっと見た皿洗い中の彼を見てると不思議と泣きたくなった自分がいて。
最近ちょっと凹んだ事も自分で処理したはずなのに、淡々と口にしてしまっている。
「…写真?」
「うん、まぁそんなとこ。
…過去に私はこの世界で底辺まで落ちたけど、一般の方々はそんな状況も理由も知らないからそんなふうに言ってくれてるんじゃないかな。
客観的には、『少し見なくなったけどけどまた直ぐにもう一度咲き誇った』
ってシンデレラみたいに映ってるから、いい評価をくれるだけなんじゃないかな、って思っちゃって。
その評価、、ランキングは本当に私に相応しいのかなぁとか」
「でもAは努力してんじゃん」
「してるつもりでいるだけなのかも。
この世界の私への実際の評価は、
『あんな雑な合成写真で潰せる程度』だってことなのかなぁって」
「考えすぎだよ」
「…。
ぁあ、泣きこど言っちゃった!ごめんね忘れて」
久しぶりに彼に会ったから口が軽くなっていたのか、それとも、
3枚も届けられた合成写真が知らず知らずに心を蝕んでいたのか、
いつの間にかそんな弱音を吐露していて、
挙句の果てには裕太に肩を抱かれている始末
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れんり。(プロフ) - みなさん» すごく励みになるコメントありがとうございます!こちらの更新を待って下さる間、冬萌を読んで過ごして頂けると嬉しいです (2021年1月11日 22時) (レス) id: f1c4f19e3d (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - お話読んで、泣きました。 このお話の続き読みたいです!! よろしくお願いしますm(_ _)m (2021年1月11日 9時) (レス) id: c7556a56f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れんり。 | 作成日時:2020年8月16日 0時