脈動 一 ※若干ピンク ページ9
温かい。すぐ近くで誰かの体温がこちらに伝わってくる。
首筋に何か触れる、いや、噛みつかれる感覚がした。
今、どーゆー状況？
まぶたを開けたばかりでボヤける視界に目線を動かす。
深い赤の壁にオレンジがかったライトのある部屋。
なんだかどこか、大人の雰囲気を醸し出すここは、私の知らない部屋。
ホテルか何か？
あれ？
私、何してたんだっけ？
「あれ……」
少し顔を動かして下を見れば、下着姿の自分の上にチャイナ服の男の子が跨って私の首に噛み付いていて。
「あれ！？」
『い゛っ！』
勢いよく起き上がれば額がぶつかってお互いに鈍い声をもらした。
「いったいなー。急に起き上がらないでヨ、A」
「いやいやいや！！ え…………事後！？」
「プッ……あははは！ 違う違う」
いきなりのことで動揺していると、目の前の彼――神威君が笑いだした。
それがさらに困惑を生む。
「お腹すいたから君にご飯奢ってもらったあと色々遊んでたら、君が急に眠たくなったって言ってここに連れてきたんだヨ」
「そ、そう……そうだった、思い出した……私は18の男の子をホテルに連れ込んでしまったのか」
あまりにもな行動に頭に手を当てうなだれる。
やっちゃったよ、AAさん。
やっちゃったよ！！？
「うあー……って、待って。なんでその経緯で神威君は普通の格好なのに私が下着姿なの？」
「え、俺が脱がせたから」
「さも当たり前かのように言うな」
「アイタ」
彼に軽くチョップして、小さくため息をつく。
改めて自分の姿を見返して
「っ」
なんかめちゃくちゃ恥ずかしくなってきた。
「ふ、服は？」
「洗濯してあげたヨー」
「何してんだァ！」
一着しかないよ！ 着る服ないよ！
いやそれが目的なんだろうけど！
目の前でニコニコする彼は、絶対わかっててやったのだろう。
くそう、ほんとに18かこの子は！
「と、とりあえず上から退いて」
だんだん顔が赤くなって、目をそらしうつむいて小さな声でお願いする。
「ヤダ」
「なんでー」
拒否するのは分かってたけども
「こ、このカッコ、恥ずかしいから」
「可愛いと思うけど？」
「そういう問題じゃ……いや、っ」
可愛いなどと言われて数秒かかってどこか嬉しさと、羞恥心に襲われ顔を手で覆って唸った。
「……珍しいね。普段取り乱さない君がそんな反応するの」
「うぐ」
この状況で彼の顔が近くて、変に意識してしまう……。
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作者名：刹那＊桜 | 作成日時：2021年2月13日 22時
