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虚空の彼方、光る星  ※本編とは切り離して見てね ページ11

父と母が殺された時

 家族が壊された時

 私の世界は死んでしまった。

『ずいぶん、酷い雨ですね』

『よかったら、私のところに来ませんか』

 死んだ世界に

 死んだ私に

 生きた人間が手を突っ込んできた。


 吉田松陽

 彼は私の、決して消えない灯火だった。


「君は私に似ている」

 笠を被り、烏の仮面を着けた男は私の顎を持ち上げてそう呟いた。

 顔を隠しているようだが、彼の亜麻色の長い髪に私の古い記憶が呼び起こされた。

「……先生」

 私が呟けば、目の前の男は驚いて口を開き少し悲しげに眉を下げた。

「……そう。君が求めるのは、やはり彼なのでしょうね」

 スッと手を離され、今度は私自ら彼を見上げる体勢になって。

「私には君が必要だ」
「どういう……」

「私には、あなたが必要だ。AA」

 男が仮面を取って、その下の姿を目にしてしまった。


 私の中に広がるのは

 驚きと

 懐古と

 違和感

「今なら、あなたを(いだ)くこともできるだろうか」

 男が私の手を取ったが、彼が動く前に私は言葉を紡いだ。

「……違う」

 私の言葉に、ピクリと反応する。

「あなたは、先生じゃない」

 私の言葉は、冷たかっただろうか。

 目の前の彼の瞳は哀と悲痛に染まっていく。

 でも違うんだよ。

 そうじゃない。

「あなたの名前を、教えて」

 頬に手を添えて言えば、彼の赤い目が見開かれた。

「ーー虚」

 彼は名を告げるつもりなどなかったのかもしれない。

 こぼれるように出された答えを、私は聞き逃さなかった。

「虚。素敵な名前」

 にっこりと笑って言えば




「やはりあなたは」


ーー眩しすぎる



 笠の影が私を覆った。


「……!」

 柔らかい温もりが口に触れて

 烏は私を(ついば)んだ。

 曇天に消えていった烏を私は忘れることができなかった。

 昔に私を掬い上げてくれた光ではない、

 一匹の八咫烏(やたがらす)

『A。私を終わらせられるのは、あなただけです』

 その烏が去り際に告げたのは、

ーー私を殺せるくらい、強くなりなさい。

 黒い闇の呪詛だった。

撫でてみるのはありっすか?【土方】→←脈動 二 ※若干ピンク



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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2021年2月13日 22時

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