【銀魂】シスコンな兄の尻拭い９ 【柳生篇】

ワレモノ注意　七 ページ33

「こっからは別行動だ。行くぜ総悟、戦」
「土方さん、ドSコンビとチンパンジー勝手にどっか行っちゃいました」
「……」

　新八が勝手に歩いて行った銀時と沖田、戦の背中を見て伝え土方が無言になった。


「すいませーん。ちょっとお皿貸してもらえますか？」

　土方と神楽は近藤、新八、Aと別れて屋敷の女中に声をかけた。
　女中は快く頼みを聞いてくれて小皿を土方に渡した。

「ほら、コレ使え」
「いやアル。醤油ついてるネ。もっと綺麗なの持って来てヨ」
「てめー元はと言えばてめーが皿割ったから」
「アッ、私あの皿がいいアル」

　神楽は部屋の奥に飾られていた大きく立派な皿を指した。

「あんなデケー皿しょってどう戦う気だてめーは！！」

　その皿はどこかの星のかなり高い皿らしく、女中からは断られてしまった。

「あれじゃなきゃ嫌アル。早くもってこいヨ。お前のマヨ皿も粉々にされたいアルか」
「てめーは……」

　土方が青筋を浮かべてキレかけるが、開戦の狼煙が上がっているのを見て言葉を切る。

「おい、モタモタしてる暇」
「しょうがないアルな。マヨ皿で我慢するアルか」
「ちょっ、待てェェェ！！俺の皿はっ！」

　神楽が二皿分胸に巻いて行ってしまい土方が止めようとする。
　しかし、屋根の上から西野が二人の間に降りて来た。

「はい、まず一人目」
「！」

　背後から木刀が振られ、神楽は驚いて振り返った。



　屋敷の縁側で、敏木斎はお妙に耳かきをしてもらっていた。

「なんか色んな奴にいびられとるようだが大丈夫か？」
「ええ。これくらいで負けていたら柳生家の嫁は務まりませんわ。でも……」

　お妙は九兵衛とAを思い浮かべて目を伏せる。

「本当にこのままでいいのか、分かりません。九ちゃんに自分の気持ちに素直でいてほしいですが……」
「ああ……Aのことか」

　呑気に目を閉じて耳かきされていた敏木斎が目を開けた。

「気づいていらっしゃったんですね」
「そりゃあな。あの子を前にしたら誰でも分かりやすくなるからな〜。お妙ちゃんも随分、分かりやすくなっとるぞ。アンタはこのままでいいのか？」
「……」

　お妙は彼の問いかけに答えられなかった。

　Aに対する気持ちを素直に出しても構わないが、昔の事が杭となって引っかかってくる。

「……俺ァてっきりまだあの事を気にしてんじゃねーかって思ってたが。図星みたいだな」

　敏木斎の言葉にお妙は昔を思い出して表情を曇らせた。

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