やっぱりヒロインはゴリラに限る 六 ページ8
宇宙船の中で松平は扇子を開き発砲の指示を出す。
「エネルギー充填。松ちゃん砲、発射用意」
「長官」
「いいから撃て」
「いやそうじゃなくて。アレを……」
操縦士の一人が汗を浮かべて前のスクリーンを指す。
「奴ら逃げるどころか増えてます」
星海坊主の前に新八と定春、ハタ皇子とじいが立っていた。
「貴様らァ!!このおっさんが目に入らねーかァ!!」
「今撃ったらもれなくこの央国星皇子ハタ様も爆死するぞォ!!」
「なっ……」
新八とじいがハタ皇子を使って松平の砲撃を止めようとする。
松平はハタ皇子を見て驚く。
「五分でいいから待てって言ってんだよォコルァ!」
「五分なんてすぐじゃん!矢の如しじゃん!カップラーメンでも作って待ってろって言ってんだよォ!コルァ、殺すぞ!」
じいと新八は二人とも口悪くしながら声を上げた。
そんな彼らに星海坊主は驚いていて。
「て、てめーら……」
「チャイナ娘には世話になったんでな」
じいがタバコを吸いながらガクガク震える横で、「コレ撃たないよね?」とハタ皇子は不安そうにしていた。
「ったく、あの天然パーマとお人好しは……来るなら最初から言えってんだよ」
新八は呟いて
「どうせ来ると思ったけどね。天邪鬼が」
目には涙が溜まっていた。
――私、人を護れるようになったヨ。
――もう一人じゃないネ。
「――ら」
「神楽」
「起きろ」
暗闇の中で、神楽は銀時の声を聞いた。
(ぎ……銀ちゃん)
神楽が目を開ければ
「ほーら。酢昆布食べちゃうぞ〜」
銀時がニヤニヤと意地の悪い顔で酢昆布をかじっていて、神楽は真顔になる。
「ほらAも一緒に酢昆布食べようぜ」
銀時は横にいたAの腰を引いてお尻を支え、自分の咥えた酢昆布を彼女に食べさせようとして。
「ひゃっ!?ちょ、どこ触って!?まっ、顔近ッ」
Aは急にお尻を触られて驚き、銀時の顔が近づいてきて赤面する。
神楽は真顔で額に青筋を浮かべた。
「長官!アレ本物です!」
「本物のハタ皇子だ!」
船内で役人は驚いて、スクリーンに映るハタ皇子を指す。
「どうしてあんなところに……」
「おう、コレが松ちゃん砲のスイッチ?」
松平は役人たちを無視して前のスイッチを触っていた。
「いや、そーですけど早く救助しないと大変なことに……アレ。今、押した?ウソ……今押した?」
「いや。五時から娘の誕生日パーチーがあるからさ」
「え゛え゛え゛え゛!?」
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年10月2日 5時