やっぱりヒロインはゴリラに限る 四 ページ6
『待ってくれ、とっつぁん!あそこにはAさんがいるんだぞ!』
「おいおい、Aの名前を出しゃァ俺が止めるとでも思ってるのか近藤」
『ッ……』
松平はフッと笑う。
「Aがいるとわかりゃ、余計に安心して撃てるわ」
『いや何でだよ!』
「いいか近藤。俺はAを死なすつもりで砲弾放つんじゃねェ、Aを信じてるからぶっ放すんだ」
『いや余計に意味わかんねェよ!!』
松平はキメ顔で言うが近藤は若干キレながらツッコんでいた。
「Aなら大丈夫だろ」
『そんな楽観的な……』
「なあ?そうだろ、A?」
『え』
松平がAに語りかけるように言って、近藤とそれを聞いていた真選組は驚く。
少し静かな刻が流れ
『まったく……勝手なこと言ってくれますね』
松平のそばから携帯越しにAの声が聞こえ、それが無線を通して近藤たちに伝わる。
『Aさん!?』
近藤が驚き、Aはえいりあんの核の上で携帯で通話しながら松平の船を見る。
「松平さん本当に無茶振りばっかりしてくるんだから。給料上げてくれないとストライキ起こしますよ」
Aが笑って言えば、携帯の先からフッと鼻で笑う声が聞こえる。
『ここで生きて帰ったら昇給してやるよ』
「……止める気はないんですね」
『当たり前だ、じゃなきゃこの江戸が崩壊しちまうんだからよォ。それに……お前なら大丈夫だろ』
「…………」
責任放棄のような言葉だが、松平のそういう発言は信じている相手だからこそ投げているものだと、Aは分かっていた。
『お前なら、その力で自分の守りたいものを守れる。そうだろ』
沈黙が生まれる。
Aは口を開いた。
「そうだね……あなたの護りたい『
困ったように眉を下げつつもそう答えた。
「でも、少しだけ時間をくれませんか」
『無理だな。松ちゃん砲、すぐ撃ってチャチャッと終わらせちゃうから。そっちはそっちで、Aちゃん何とかして』
「あ、ちょっと!」
ブチッと一方的に切られてAはため息をつく。
「……船の砲弾を抑えられると思うか」
星海坊主はAに目を向け問うた。
「どうでしょうね。やってみないことには何とも」
「そうか……オイ銀髪。お前は行け」
星海坊主は立ち上がる。
「もうじきここは火の海だ。お前だけでも逃げろ……ホントなら嬢ちゃんも巻き込みたくはなかったんだが、そうも言ってられない状況だ」
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年10月2日 5時