思いは時に呪いとなる 五 ページ47
「でも印の場所を見るに、できるだけ早く何とかした方が良さそうね」
阿音はAの印があった胸元を見る。
「Aの印は心臓により近いところにあるわ。それだけ命を対価にしても構わないっていう強い思いの現れなんだろうけど、それはつまり、場合によっては――命をエネルギーにしてでもまじないの効果を発揮しようとする可能性があるってことよ」
『!!』
阿音の言葉を聞いて全員が驚いた。
「おいおいマジかよ。どんだけ強いまじないかけてんだよお前」
「それまでのモノ……いったいどんな呪いなんですか?」
「それは……」
銀時は苦い顔をして頭を掻き、新八は気になってAに尋ねた。
彼女は言葉に詰まってしまった。
Aは、まじないの内容と、それをかけた時のことを覚えていた。
自分でも思念が歪んでいる自覚はあるらしい。
阿音百音が印に触れた時の反応で、まじないが呪いに変化したのは何となく察していたようだった。
だが「自分を身体を肉の盾にしてでも大事なものを守れ」などというまじないを、銀時たちに伝えればきっと怒られると考えていた。
Aは普段の銀時たちの様子から、自分が彼らに大切にされているのを肌で感じている。
だからこそ言いづらいのである。
「……人の願い事を聞くのは無粋よ」
阿音はAの様子を見て割って入った。
「それより今後のことを考えましょ……一応見た感じ、まじないを解除するのは私たちでは不可能だわ。まじないを掛けた神社の霊気を使ってなら、可能性は高くなるけど」
「少しでも神社の情報があれば絞れはするんですけどね……A、何か手がかりになるようなこと、些細な事でも構わないので覚えていませんか?」
百音に問われて、Aは「うーん」と頭を悩ませる。
「一つだけ、覚えてることがあるんだけど……」
「確かそこは『黄龍門』がどうのこうのって……」
『え』
黄龍門という言葉を聞いて巫女姉妹と新八、銀時が絶句した。
「お前らどうした?」
戦と神楽、Aは姉妹から黄龍門の話を聞かされていないため不思議そうにしていた。
「こ、黄龍門っていうのはね、江戸で最大の龍穴のことなんだけど……その黄龍門の神社を代々守ってきたのが、私たちなの」
「お前たちの神社って確か……」
「え、ええ。取り壊されて……今はターミナルになってるわ」
『え゛え゛え゛え゛え゛!!?』
Aと戦と神楽の濁った叫び声が響き渡った。
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年10月2日 5時