星の暴走は止められない 二 ページ16
「そんな。じゃあ私は……ただの化け物に……」
Aは今まで、例え強すぎる力があっても誰かを守るためだけに使い、相手を殺さないようにしてきた。
その事実があると思っていたからこそ、彼女は自分の力を受け入れられていた
しかしそれが今打ち砕かれた。
「待て、そうじゃない」
しかし戦が割って入り彼女の言葉を止める。
「やり過ぎではあったし殺戮を肯定はしないが、暴走したお前は確かに俺たちを守っていた。お前は無意味に殺傷したり、ただ殺戮を楽しんだりはしていない。だが、人を殺していたのは事実だ」
「だから俺たちはその暴走の原因を突き止めて……お前が人を殺さないようにしようと決めたんだ」
銀時が戦に続けて考えを伝える。
「二人とも……」
「ちょっと待て。重大な話を割ってすまないが」
黙って聞いていた星海坊主が声を上げた。
「星人はどの星に生まれた者にせよ、絶対に暴走なんぞしないぞ」
『え?』
全員が驚いて声をもらした。
「どういうことだよ?」
「絶対しないってなんで言えるんだ?」
銀時と戦が怪訝そうに問う。
「星人は知っての通り強大な力を持つ危険な種族だ。だがしかし、それ故にその力が暴走しないよう体に働きかける、安全装置のような機能がついてる体質なんだ」
「なんだそのロボットみたいな言い方」
戦は星海坊主の説明にツッコむ。
「星人の体内には強いエネルギーが流れていてな……そいつはアルタナって言うんだが」
『!』
「ま、待ってください!」
銀時たちはそれを聞いて驚く。
新八が慌てて星海坊主の説明を止めた。
「『アルタナ』って言えば、大地を巡る惑星の生命エネルギーじゃないですか」
「アルタナがあってこそ兵器の製造や長距離星間飛行ができるようになったってのに……それが、いち生命体の中にあるだと?」
新八に続けて戦は眉を寄せる。
「おいおい。こいつにはそんなこと何も書いてねーぞ」
銀時は坂本が見つけ出した、星人に関する資料を出す。
「当たり前だ。もともと最強と言われて狙われていた星人が、体内にアルタナを宿してることが知られて存在価値は倍以上に跳ね上がった」
「そして知っている者は皆、星人を独占するためにもアルタナの情報がこれ以上、他に知らないよう文字で記録することを禁じたんだ」
星人のアルタナに関することは全て口頭でのみ伝承されていた。
それが絶滅して幾年も過ぎ、伝える者も知る者もほとんどいなくなったのである。
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年10月2日 5時