困ったときは笑っとけ笑っとけ 一 ページ3
「はっ！ 危ない危ない。あまりにも暑いもんじゃけー、昔のことが走馬灯のように駆け巡りかけたぜよ」
坂本はハッとしたあと笑った。
「なんとか助かったってのに危なかー」
「助かっただァ？これのどこが助かってるってんだよ」
銀時は頭にタオルを置いてうつむく。
墜落した先、辺り一面は砂景色で上は雲一つない晴天。太陽が二つあり、日差しが強く暑い。
「ほんと暑いね……」
Aは暑さに耐えかねて上の服を脱ぐ。
銀時たちが彼女に目を向けると、全員ギョッとした。
インナーは着ているがもちろん露出は多く、さらに暑さのため胸の間に汗が流れて何とも扇情的だった。
「いやお前、脱ぐより腕まくれよ！！」
「扇情的すぎるき！目のやり場に困るぜよ！！」
「え？そ、そうなの？」
銀時と坂本に言われて、ただ脱いだだけなのにとAは少し戸惑っていて。
「でもほら、昔の原始人は葉っぱ一枚で過ごしてたって言うじゃん？」
「いやアンタどう見ても現代人だろ！！時代の流れに逆行するな！」
人差し指を立てて言うAに新八がツッコんだ。
「暑さで参っちゃってAさんがボケ役に回っちゃってるよ！神楽ちゃんも元々日に弱いけど大丈夫？」
「大丈夫ネ、傘があれば平気だヨ」
神楽は返答のわりに何やら川の幻覚を見てそちらに行こうとしていて、慌てて新八に足を掴まれていた。
「しっかりしろ神楽。ダメだ目が座ってる」
銀時がピチピチと神楽の頬を叩くが、彼女は座った目で訳のわからないことを言ったままで。銀時は神楽をおぶる。
「俺ァあっちの川で水飲ましてくるわ」
「お前も見えてんのかいィィ！」
一面砂だらけの世界で川の見えている銀時に新八はカカト落としを食らわせた。
「お、花畑もある。あ！オイ見ろ、あそこの結婚式場に俺とAの名前が入った看板があるぞ！これから披露宴が始まるみたいだ急げ！」
「何をバカなことをゆーちょる金時……あっ！Aとの宇宙新婚旅行の船が待っちょるぞ！はよう行かんと乗り遅れるぜよA！」
「二人とも幻覚に変な願望混ぜるな！！Aさんも二人止めないと」
新八が振り返れば、Aはニコニコとして何もない前方を指差して。
「見て見て！銀ちゃんが結野アナと、坂本君がおりょうさんって人と結婚して式挙げてるよ！めでたいね！」
「いや、アンタらの幻覚すれ違いすぎて同じ世界線じゃ絶対起こり得ないよソレ」
新八は何とも言えない表情で呆れていた。
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作者名：刹那＊桜 | 作成日時：2022年8月29日 18時
