鬼の前に降る流れ星 一 ページ41
「なんか、凄い転身だね」
Aは格闘技リングの中にいるお通を見て苦笑いした。
新八とその友達のタカチンがお通の応援をしている。
お通はスキャンダル後、殴り屋に転身したらしく銀時は呆れていた。
神楽が何故かリングに乱入して銀時と新八は真顔になる。
「ヤバいよ、俺知らないよ」
「僕も知りませんよ。アンタの躾が悪いんでしょ」
銀時と新八は逃げるように席を立つ。
「おら、Aいくぞ」
「え、いやでも止めないと」
「こういうときは見て見ぬ振りです。面倒なことになる前に早く行きますよ」
二人はAの手を引っ張って無理矢理にでも退却させる。
しかし観客席から見知った男が見えて立ち止まった。
「何やってんだァァ!引っ込めチャイナ娘ェ!目ェ潰せ!」
その男、沖田はお通の対戦相手を応援し野次を飛ばしていて、Aは苦笑いする。
銀時たちに気づきいた沖田が野次を止めた。
「いやー奇遇ですねィ。今日はオフでやることもねーし大好きな格闘技を見にきてたんでさァ」
沖田いわく、特に女子格闘技が好きらしい。
女同士が醜い顔で取っ組み合いするのを面白がるという、何ともサディスティック極まれりな楽しみ方をしていた。
「まあ、Aさんがいたのは意外でしたけど」
「お通ちゃんとは友達だから応援にね……なんか凄い方向転換してたけど」
沖田に見られてAは顔を引きつらせて答えた。
沖田は銀時に何か言おうとして、Aを見て少し悩み口を開いた。
「旦那方、暇ならちょいと付き合いませんか? もっと面白ェものが見れるところあるんでさァ」
「面白いもの?」
「ついてくれば分かりまさァ……Aさんの嗜好にはちょっと合わないかもしれないですが」
沖田は最後の言葉を小さくもらした。
彼は狭い路地の奥に四人を連れて歩く。
どうやら裏世界の住人たちの社交場らしい。
路地に転々と寝そべり座っている男たちが、Aを見てニヤけていた。
「Aさん、本来ここはアンタみたいなのが来るとこじゃねーから、そば離れんでくださいよ」
「え? ちょっ」
沖田は男たちの視線を見て、Aの肩を抱き寄せ近くで護る。
「総悟君何やってんのォ!」
「さっさとAから離れるネ!このマセガキ!!」
「うるせー、こうでもしなきゃ危ねーでしょう。この人はココらの奴からしたら宝石なんですから」
じゃあ連れてくんじゃねーよ! と銀時に正論でツッコまれるが沖田は無視した。
鬼の前に降る流れ星 二→←親友がどこぞの馬の骨な男と一緒に住むって聞いて心配するのは当たり前 二 終
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年8月29日 18時