オカマは男のバカさも女のズルさも知っている 三 ページ34
「おいおい、Aがいるなんて聞いてねーぞ」
「奇遇だな、私もだ。物資の配達役と言っていたが裏方か。バレないように最低限の接触で済ませるしかなかろう」
パー子とヅラ子が舞台に上がり、二人は踊りながら小声で話した。
するとノリが悪いのを先輩のあずみに指摘され、銀時たちは踊りをやめて問答する。
「オイオイ何やってんだよ! グダグダじゃねーかよ!」
そんなこんなやってると客席から野次が飛んでくる。
野次を飛ばしたその男は禿げたおっさんで、酔っ払っているようで顔を赤くしていた。
「こっちはテメーらみてーなゲテモノ、わざわざ笑いにきてやってるんだからよォ。もっと馬鹿なことやってみろよバケモノども!」
「何だと、すだれジジイてめェ。その残り少ねェ希望ぜんぶ引き抜いてやろーか!?」
「よせパー子」
銀時がキレるのを桂が止めて、他のオカマたちは西郷に対応を任せるようにその場に静かにしていたが
「あれ〜? 珍しィ、今日はAちゃんも客席にいるんだ? こんなゲテモン見るよりオジサンに酌してよ」
「え、ちょっ……」
『!!』
男がAに絡んだのを見て、銀時と桂だけでなくその場にいたオカマ全員が反応した。
「おいテメェそいつに触れる、な……」
銀時が男に啖呵を切ろうとするが、それよりも先に西郷がその男の頭を掴んだ。
「お客様。舞台上の踊り子に汚い野次を飛ばすのは禁止と言いましたよね? あと……ウチの裏方に気持ちの悪い近寄り方をするのも、厳禁ですよ」
西郷は低い声で言い、額に青筋を浮かべていて。
「オカマ舐めんじゃねェェェ!!」
彼は思いっきり男を投げ飛ばした。
銀時と桂、Aはそれを見て驚いていた。
「いーのかアゴ美、あんな派手にやっちゃってよー」
銀時と桂、先輩のあずみは休憩で外に出ていた。
歩きながら銀時は棒付きのアイスを食べ、桂はコーヒーを飲んでいて。
銀時は先ほどの西郷の客への対応を思い返して、あずみに尋ねた。
彼は最初からずっとあずみのことをアゴ美と呼んでいる。
「だからアゴじゃなくてあずみだって言ってるでしょ! ……オカマは誰よりも何よりも強くなきゃいけないの。それに、Aにああいった態度を取る輩には力で対応するのが私たちの暗黙のルールよ」
「オイオイ、いち裏方にそんな肩入れするか?」
「……あの子は、私達にとって『いち裏方』で片付けていい存在じゃないのよ」
あずみは少し顔を伏せて低い声で言った。
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年8月29日 18時