音楽聴きながら勉強したら曲の方に意識いっていつの間にかノっちゃうやつ 三 終 ページ12
真選組の会議が終わり、隊士たちはそれぞれ持ち場に戻っていく。
部屋に戻る戦に、Aが声をかけた。
「お兄ちゃんは知ってたの、高杉君のこと」
「……まあな。お前には未だ言うなと、とっつぁんが指示していたからお前には情報が回ってこなかったんだろう」
「! 松平さんが……」
Aは驚き、うつむいて自身の手を触る。
「私に言わないのは、役立たずだから……?」
「ちげェよ、ばーか」
「あいたっ」
戦に頭を軽く叩かれてAは声を上げる。
怪訝そうにして兄を見上げて。
「お前が雇われた形式は、あくまでも将軍の護衛係だ。悪党を捕まえる真選組の役は担ってねェ。なるべくお前と高杉が対峙するのを避けたがってただけだ」
これらは松平の意向ではあるが、危険人物の高杉とAの接触の機会を作りたがらなかったのは他の者たちも同じだった。
「それが今回、祭りに将軍様が来るってんでお前が呼ばれて、そこに高杉が来るっつーことで今の会議に参加させたみたいだな」
「そう、なんだ……でもどうしてわざわざ避けるようなこと」
「幕府の連中は高杉が危険ってことで、お前が心配だったらしい」
「心配? どうして……?」
一職員に幕府の役員が? とAは不思議がって。
「そりゃお前が幕府の連中まで引っかけ……ンンッ。お前が将軍様のお気に入りだからだろうな」
たぶん自覚がないから言っても理解しないだろうと、戦は最初に出た言葉を押さえ込んで別の言葉に変えた。
「……私の中では勝手に親しくさせていただいてるけど、茂々様のお気に入りっていうのは何か凄く無礼な気がする……」
「まあ、普通そうなるわな」
どんなに鈍感だろうと関係ない。
普通の者ならば恐れ多くて、将軍様に好かれているなどという勝手な見解に辿り着くはずがない。
けれど現実そうなっていて、戦は大きくため息をついた。
――
河原で一人、機械を弄っている源外は息子のことを思い出していた。
幕府によって処されてしまった息子のことを。
そして、息子と同じく機械を好んでいて、自分のところに何度も顔を見せてくる変わった女のことも。
そんな源外のもとに、一人の男が訪ねた。
左目に包帯を巻いて煙管を咥えた、男――高杉晋助が。
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年8月29日 18時