黒波 五 終 ページ38
「ぐっ……ぬおおおお!!」
桂は押しつぶされそうになり、歯を食いしばって踏ん張っていた。
バチッとAの手元で音が鳴り閃光が見える。
桂が見上げて彼女を見ると
「!」
Aの体から緑色の光が放出されていた。
(まさか……)
「アルタナッ!!」
(まずい!!)
桂はすぐさま後ろに飛び退いて距離を取った。
狭い部屋だが撹乱のために懐から爆弾を出してAの近くに放り投げ起爆する。
「!」
Aは爆弾に意識を削がれ、アルタナの放出が中断されて後ろに退避した。
ドゴォォォと強烈な爆発が起こり辺り一面に煙が広がる。
「ゲホッ……無理矢理にでも放出を妨害したか。自分の基地だというのに容赦ないな」
礫星がAの前にいて爆発から彼女を遠ざけており、刀で煙を払う。
「ここは拠点の一つに過ぎんからな」
桂も煙を払ってAたちを睨む。
(Aと戦えば、彼女は惜しみなくアルタナを使ってくる。いくら俺が避けて大丈夫だろうと、A自身がアルタナを枯渇して消滅するのも時間の問題だ)
彼女の命を考えるなら、極力アルタナを使わせないようにするしかない。
(なんとも難しい課題を押し付けてくるものだ。だが……)
「俺たちは馬鹿ではない。高杉や坂本も、真っ向から
桂の言葉に礫星はフッと笑った
「お前たちは、そうかも知れないな。だが……」
「いるじゃないか、二人」
「Aのことになると、冷静に判断できなくなるーー獣が二匹」
「!!」
桂の脳裏に銀時と戦が浮かぶ
もちろん二人とも馬鹿ではない
しかしAのことになると歯止めが効かなくなるのが二人の欠点だった
桂は、彼女のことで二人が激怒するところを何度も見てきた
『離せゴルァァ!!妹ぶん殴った奴ぶっ殺してらァァァァ!!』
『オイ……てめーら首斬り落としてやるよ』
その二人を止めるのは桂たちでは不可能で
ブレーキをかけられたのは
『もー二人とも!やりすぎだってば!!』
Aだけだった
そんなAが敵方となった今、二人を抑えられるものは誰一人いない
(まずい!!早く銀時たちに知らせねばッ!)
桂がすぐにその場を離れようとするが、真横を刀が勢いよく通り過ぎた
「どこいくの、桂君……まだ、終わってないよ」
殺気立つAの手には、紫の線が刻まれていた。
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年2月26日 20時