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船弾 四 ページ19

「A、なんで……」

 血まみれの刀と、後ろの乗務員室、先ほど騒ぎがあったのを脳裏に浮かべれば

 自然と答えは一つになる

「おま、ん……まさか、わしの仲間を……」
「?うん。アルタナが出過ぎてる月星を怖がって攻撃してきたから」

 坂本の様子にAは不思議そうに返答した

「でも大丈夫だよ坂本君。月星の指示で、動けなくしただけだから。誰も殺してないよ」

 安心して、とにっこり微笑む彼女はいつもと何ら変わらない

 変わらないのに、やっていることは全く普段の彼女とは違うのである

「ッ、ニセモンじゃ!Aがこげなことするわきゃない」
「……いや。(かしら)、あれは」

 陸奥はAを見て眉を寄せる

「アレは……本物のAじゃ」

 その言葉に坂本は目を見開いた

 陸奥には月星以上の膨大なアルタナが見えて、何もしていないのに肌がヒリついてくる

「いつもは抑え込んでいたようじゃが……偽物でこの量のアルタナを保持できるわけがない」
「凄いよな、A。こんな量のアルタナ持っとるのに、普段はケロッとして全部を押さえ込んどるんやもん」

 月星が笑ってAに抱きつき、頭をわしゃわしゃと撫でた

「ちょっ、月星離れてっ。恥ずかしいからっ」

 照れて顔を赤くするAは普段通りで、手に持つ血まみれの刀の異様さが増す

「……した」

 坂本の声が小さく聞こえる

 わちゃわちゃしていたAと月星が静かになった

「お前……」

「わしのAに何をした」

 坂本の青い目が、月星を睨んだ

 それは先ほどまでのような単純な敵意ではなく

 相手を潰したいと、燃え盛る憤怒だった

 燃えているのにその目は冷たく、凍てつき月星を凍えさせる

 しかし、月星はフッと笑った

「なんもしてへんよ。ただちょっと……記憶を変えて洗脳しただけや」

「Aの父親と母親を殺したんをな」

「Aが昔、慕っていた男……坂田銀時ってゆー奴に、してみたんやわ」

「!」

 坂本は目を見開いた。

 記憶を改竄したことを真横で言われているのに、Aは洗脳されているゆえか銀時の名前を聞いた瞬間に殺気があふれ出る

「A!!騙されるんじゃなか!!今ゆーちょったじゃろ!そいつはおまんの記憶を操作して……」

 ザウン、と坂本の頬を刀が猛スピードでかすめる

 ゆっくりと、坂本の頰に血が流れた。

「坂本君は……銀時の、味方をするの」

 殺気だった赤い目は、女ではなく、鬼を宿していた。

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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年2月26日 20時

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