渇いた兎は星に願う 三 ページ27
「何をっ……!」
「今のでお前も気づいただろ。アレは、たまたま間が悪かったんじゃない。俺と彼女の殴り合いが速すぎて、お前が入る隙を間違えたんだ」
「ッ!!」
そう、先ほどの一撃は神楽が入るタイミングを図り間違えた。
というよりはそもそも、彼女に入る隙などなかった。
端から見ればAは神威の猛攻に難なく反応していて、そこまで激しくない攻防である。
しかし近づけばわかる、その攻め合い・受け合いには誰も、入る余地がない。
逆にAが神威の速度に合わせられているのが驚異的な程である。
「お姉サンに余計な負担をかけたくないなら、手出しはしない方がいい」
神威はニッコリ笑って、再びAに襲撃を始めた。
「ッ……」
神楽だけでなく、銀時たちもその戦域に足を踏み入れることができなかった。
「邪魔されたくないのなら、邪魔できない速度でヤり合えばいいだけの話だよ」
「ッ……相手が、それについていけない可能性だって、あるんじゃないですか」
神威の攻撃を受け止め流しながらAは汗を流して言葉を吐く。
「そんなに弱い相手なら、俺の血はここまで たぎらないよ」
ズザッッと風が吹き抜け拳がAの頬をかすめる。
直撃ではない少し触れただけなのに頬が裂け血が流れる。
(これは喧嘩なんかじゃない。
Aが相手の意図を理解して冷や汗を流す間にも蹴りが襲ってきて一歩後ろに下がる。
しかしフェイントだったようで、すぐに背後を回られてしまった
「!」
すぐさま振り向き様に蹴り上げようとするが、腕を掴まれて関節を可動域外に押し込まれ骨の折れる音がハッキリと響いた。
「あがっ!!」
Aはそのまま捻りあげられ、腹部に蹴りを入れられて胃液を吐き出しその場に崩れた。
「んー、やっぱり思ってたのと違うな。このやり方だと全力を出してくれないのかな」
神威は地面に膝をつくAの腕を掴みながら退屈そうに眺める。
「じゃあ……」
何かを考えて、神威は足をスッと上げた。
「!やめっ」
Aが何か察して止めようとするが、それより先に神威の足が地面に振るわれ、大きく亀裂を生んで建物を破壊させた。
『きゃああああ!!』
屋敷内が揺れ、壁や床が崩れ始めていく。
「や、め……」
そこら中に遊女や百華たちの悲鳴が響き渡ってAは戦慄し固まってしまう。
「ほらほら、早くしないと皆死んじゃうよ」
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刹那*桜(プロフ) - ひゅーまんさん» すみません!一回誤変換して全部そのまま変換し続けていましたね。全て修正いたしました!ありがとうございます! (4月8日 22時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
ひゅーまん - すみません 星海坊主の字間違えてますよ? (4月7日 20時) (レス) @page42 id: 5c08d5ef79 (このIDを非表示/違反報告)
刹那*桜(プロフ) - 庵さん» ありがとうございます!!レギュラーのオリキャラを慕っていただけて何よりです! (2023年2月20日 2時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
庵(プロフ) - 戦くん好きすぎる!!!!お話の作り方がお上手で一気に読んでしまった!更新楽しみにしています(◍ ´꒳` ◍ (2023年2月17日 3時) (レス) @page49 id: 58741a08e8 (このIDを非表示/違反報告)
刹那*桜(プロフ) - ハルマ(元Luma/瑶真)さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけて何よりです!( ´ ` *) (2023年2月13日 17時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年2月4日 21時