綺麗な薔薇には棘がある 六 ページ8
「吉原の
月詠は煙を揺らし吉原の眺めに目をやる。
「それにぬし、星影の保護対象じゃろう」
「っ!」
晴太はうつむいた。
銀時は聞いたことのある名前に反応する。
「あの人が勝手にそうしているだけだが……これ以上彼女に手間をかけさせる気か?ぬしも気付いているじゃろう……これ以上ぬしが無茶をすれば、星影が介入してくることくらいはな」
「っ……そ、それは」
「お人好しなあの女のことじゃ。吉原での体裁も気にせず、ぬしの盾になるじゃろう」
晴太は以前、星影に護られた時のことを思い出す。
『星影、今日は予約してごめん。星影も色々忙しいのに……って、あれ?星影?』
ある日、星影の席を予約し時間通りに来たが彼女の姿が見当たらなかった。
戸が開く音がすると、血に濡れてボロボロの星影が見世に帰ってきた。
『!!な、なんで』
『あいたた、ごめんごめん。晴太君によく突っ切ってきてた浪人締めようと思ったら結構仲間多くてね……思ったより時間かかっちゃったや。ごめんね、一分遅刻した。その分は延長するから』
『そんなのどうでもいいから!手当するよ』
『え、いやでも今回は買ってくれたんだし』
『そんな状態で接待されても楽しくない』
『ゔ、すみません……』
無茶をしてまで自分の味方をする星影に、晴太はこれ以上迷惑をかけてはならないと思ったのである。
(夜王と対決するとなれば、
月詠は眉を寄せて、星影のことを思い返した。
『月詠ちゃーん』
『なんじゃ急に』
『晴太君が最近顔見せてくれないんだけどォォー!なんでー!嫌われたかなァァァ』
『……』
『え、なんで無視するのー!月詠ちゃんいじわるー』
『ぬし過保護もほどほどにしておきなんし。煩いでありんす』
うつむいて震える晴太を見て月詠は目を伏せた。
(護られている自覚があるからこそ、ぬしの事を心配しているからこそ顔を見せんのじゃろう。護るのもいいが、あまり子供を不安にさせるものではないぞ……星影)
話を聞いていた神楽が眉を寄せて晴太の前に立った。
「子供とマミーが会うのを邪魔だてされる義理はないネ!!」
「日輪が吉原から逃げるかも知れんからじゃ。八年前、赤子の晴太を連れて逃げた時のように」
晴太はそれを聞いて目を見開いた。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時