綺麗な薔薇には棘がある 五 ページ7
銀時はカッコよく登場した体裁を保とうとするが、腕にもクナイが刺さっていて。
なぜかそれを月詠が気を使ってフォローするという奇妙な光景が広がっていた。
振り返れば晴太の頭にもクナイがざっくり刺さっていて。
銀時は百華たちにメンチを切るが、どうやら晴太に刺さったクナイは銀時が弾いたもののようで。
銀時が大量に汗を流しながら百華にメンチを切っていれば、敵なはずの月詠が晴太のクナイは自分がやったとフォローしてきて、よくわからないやり取りが繰り出されていた。
「わっちがやったと言っとるんじゃ」
「いや俺だ」
「いやわっちじゃ」
「俺だ!」
「わっちじゃ!」
「俺っ……」
ドスッと銀時の額にクナイが刺さった。
『え?』
新八と神楽が呆然と声を上げ、銀時は後ろに倒れる。
「ぎっ」
「銀ちゃんんんん!!」
またドスッと音がして、叫ぶ新八と神楽の胸にもクナイが刺さった。
クナイを投げた月詠は百華たちに向き直る。
「奴らはわっちが全員始末しんした。そう鳳仙様に伝えなんし。後始末はわっちがしておく」
月詠の指示で百華はその場を去っていった。
残った月詠は、倒れて白目をむいている銀時の元に来る。
「……オイ。起きなんし」
銀時の額に刺さったクナイを抜く。
「さっさとせんと今度は本物のクナイを叩き込むぞ」
彼女が手の平にクナイの刃先を当てれば、クナイは伸び縮みした。
おそらくおもちゃであろう、晴太も含め銀時たち全員が起き上がり、呆然とそれを見る。
「あり?生きてる」
月詠は百華から銀時たちを逃し、彼らを隠し通路へと案内した。
建物の外の壁に付随する巨大な管の通気口で有る。
「門は見張がいる。この中を通っていくがよいわ。一日半はかかるがいずれ外に出られるはずじゃ」
通気口の蓋を開けて月詠は逃げるよう催促した。
「さっさとここから逃げろ。次来たら本当に殺す」
「部下共を退かせオイラたちを逃すために芝居を打ったのか。百華の頭のアンタが……」
「わっちは吉原の番人。吉原で騒ぎを起こす奴は消す。それだけでありんす」
月詠は通気口に腰を下ろしてキセルをふかす
「悪いがオイラは母ちゃんに、日輪太夫に会いに来ただけだ」
「だったらなおさら帰るがいい。ぬしらを逃せとわっちに頼んだのは誰でもない、その日輪じゃ」
「!!母ちゃんが!?母ちゃん、オイラのこと知っているのか!?オイラがここにいる事を!?」
晴太は月詠の言葉に驚いていた。
107人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時