星の数ほどいるバケモノの王 三 ページ34
神楽を踏みつけていた阿伏兎の後ろからドッと重い音がして、彼の左肩を薙刀が貫いた。
彼が振り返れば、後ろから薙刀で突いてきたのは新八だった。
「かっ、神楽ちゃんを……神楽ちゃんを放せェェェ!!」
「……クク、今のは良かったぜ坊主。殺す気満々だった。そうさ、戦場はそうじゃなきゃいけねェ。だが……」
阿伏兎は貫かれてはみ出た刃を掴み、薙刀を引き抜いて柄で勢いよく新八の腹を突き天井に押し上げた。
「残念、
重く大きな衝撃音が響き渡った。
「新八ィィィ!!」
「さあ、ここでまた選択肢だ。どちらが先に死ぬ?選べ」
「止めろォォ!!新八を放すアル!!」
「そんな選択肢はねェ。人生は重要な選択肢の連続だ。後悔しねーようにベストな選択肢を選ぶんだな」
阿伏兎の上から、小さく声が聞こえた。
「お、まえが……死ね」
新八は冷や汗を流し口から血を吐きながらも戦意喪失などしておらず、むしろ敵意を剥き出しに歯を食いしばっていた。
「……決まりだな」
阿伏兎がグッと薙刀に力を入れる。
強力な力が新八の腹を軋ませる。
「やめっ、止めろ……止めろォォォォォ!!」
「あがっ……」
新八が口から胃液を吐き出し悲痛な声を漏らした。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
神楽の濁った悲鳴が聞こえ
彼女の中で何かが破裂して魂を揺らす。
踏みつけられていた神楽は拳を握り、阿伏兎の足を押さえ強く脛を殴りつけた。
普通の打撃ではなく阿伏兎の足が折れ、靴が裂けて血が噴き出した。
「なっ」
阿伏兎が痛みに顔をしかめていれば、神楽は彼を足払いする。
体勢が崩れた阿伏兎に、間髪入れずに腹へ重い一撃を放った。
阿伏兎の体が勢いよく天井に衝突し、大きな衝撃音と破壊音が響く。
天井から落下する彼を神楽が蹴りつけて強く吹っ飛ばした。
阿伏兎は地面に膝をつき、口から垂れた血を手で拭う。
「動きが突然……何があったあのガキ」
「ゲホッ、ゴホッ……か……神楽ちゃん!?」
新八が咳き込んで彼女を見るが、神楽は額から血を流しながらも目を大きく開いてニィ、と口角を引き上げていた。
「鎖が千切れたか。人を殺めることを恐れるあまり無意識に夜兎の血を抑え込んでいた鎖が、仲間の危機に瀕して理性と共に弾け飛んだか」
「ようやく目を覚ましやがった
星の数ほどいるバケモノの王 四→←星の数ほどいるバケモノの王 二
107人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
刹那*桜(プロフ) - アイナさん» コメントありがとうございます!いつもご愛読いただき嬉しいです!この先も楽しんで読んでいただけるよう頑張ります(ง •̀ω•́)ง✧ (2023年1月29日 22時) (レス) @page14 id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!今回多めな戦闘シーンも、夢主ちゃんが毎回どのように強さを見せつけてくれるのか、周りがどう反応するのか、楽しみにしております。まだまだ寒いので体調に気をつけて頑張って下さい! (2023年1月29日 18時) (レス) @page14 id: e6fe50ece6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月28日 13時