好きな相手なら、笑わせてみせろ 四 ページ24
幼い頃、九兵衛は周囲の男の子たちにオカマだといじめられていた。
そんな男の子たちをお妙が殴り、九兵衛に手を差し伸べた。
ーー最初はただの憧れだったのかも知れない。同じ女の身ながら、強く生きる女の子。
『ちっちゃくたっていいじゃない。皆より背が小さいなら、九ちゃんは誰よりも心の大きな侍になれば良いのよ』
寺の石階段で九兵衛の隣に座るお妙は笑った。
ーーでも……
お妙が家で、亡くなった父のそばにいたとき、
九兵衛が来ると涙を拭って隠し、振り返って彼に笑いかけた。
ーーその笑顔の裏に抱えるものを知ったとき
ーーこの人を護りたいと思った。
『このクソガキャァァァ!!』
キノコヘアーの天人が道場で新八の頭を踏みつけた。
『新ちゃん!!』
お妙は慌てて駆けつけようとするが天人の仲間に取り押さえられてしまう。
『ホンマ借りた金もよう返さんくせに。どっかの星に売り捌いたろか!』
『地球のガキは仕事覚えるの早いさかい高う売れるって聞きましたで』
『やめて!!弟には手を出さないで!』
『やかましい!お前に選択肢はないんじゃボケ!』
お妙を怒鳴りつける天人の背後から、九兵衛が刀で斬りかかった。
『……ちゃん!九ちゃん!しっかりして九ちゃん!』
暗い視界に、目を開けて九兵衛が見たのは焦った顔で自分に呼びかけるお妙の姿だった。
彼は道場に倒れて、左目から血を流していた。
『……お妙ちゃん。僕は、どうひっくり返ったって男にはなれない。……でも』
『男よりも女よりもお妙ちゃんよりも強くなって……きっと君を護るよ』
『……ごめんなさい。ごめんなさい、九ちゃん』
お妙は九兵衛の言葉を聞いて涙を流し、膝の上で拳を握った。
『私……あなたの左目になる』
銀時と新八はお互いに九兵衛の話を聞いて、何か思うところがあるようで真顔になっていた。
「僕はお妙ちゃんとのあの時の約束を守る。お妙ちゃんの隣にあるべきは僕だ。そして、お妙ちゃんの隣にいる僕は強くなければならない。そのためにはAが必要だ」
九兵衛がそう言うと、新八は少し眉を寄せた。
銀時と対峙する敏木斎は竹に掴まりながら口を開いた。
「Aと出会ったことで九兵衛にもお妙ちゃんにも心境の変化はあったようだが……九兵衛はお妙ちゃんを必要とし、お妙ちゃんも九兵衛の支えになりたいと思うておる。例え女同士であれ、これも一つの愛の形よ」
銀時はAの名前が出てきて眉を寄せた。
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» あけましておめでとうございます!10個目でも見に来てくださって本当に嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月6日 4時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - あけましておめでとうございます。そしてシリーズ数二桁突入おめでとうございます。今年もぜひ、夢主ちゃんとお兄様の活躍と銀魂キャラたちの奮闘を拝見させてください! (2023年1月2日 10時) (レス) id: 503469204d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月1日 3時