8 チートは楽しいよ。便利だし ページ8
学校から電車で15分程度で着く町があり、駅から徒歩10分のところにとある一軒家が建っている。そう、ここが我が家だ。
いくら本気を出していないといえども体力テスト。先ほどから疲れを感じている体は自然と憩いの場を探す。真っ先にリビングのソファーに顔からダイブした。
「あら美麗ちゃん、おかえりなさい」
「たでーま…」
私ともう1人、この家に住んでいる祖母の声が後ろから聞こえた。気だるく返事をすると疲れているのね、と冷たい麦茶を出してくれた。喉乾いてたから嬉しいよばあちゃん。
「学校はどうだった？」
「ん……体力テストした」
「道理でお疲れなこと」
ふふ、と祖母はやわらかく微笑み、飲み終わった麦茶のコップを下げた。
「美麗、個性は……」
「大丈夫。誰にも言わないから」
祖母の心配そうな声色に気づき、とっさに答えた。
昔面倒ごとに巻き込まれてからは私の個性のことを誰にも言っちゃいけないのだ。それこそ、雄英の教師で知っているのは校長、相澤先生、オールマイト、リカバリーガールの4人だけ。わざわざ隠さなくちゃいけないところはホントに面倒い。まぁ、普段家以外では個性使わないから大して困ることは無いのだが。
私の個性は、両親の個性の複合型だ。複合型というより、両親の個性を進化させたものだと思う。便利のいい個性だが、完全にヒーロー向きというものでもなく、時には敵(ヴィラン)向きにもなり得る個性である。だから嫌なのだ。ヒーローとか敵とか。平和というものは存在しないのか。
まじチート設定とかいらなかったんだけど。
とりあえず、今はすごく寝たいので夕飯まで寝ることにする。
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作者名：えーり | 作成日時：2019年5月9日 0時
