天才少女の過去を知る者はいない 6

第247話 変わらぬ人 ページ9

陽良side





あー、久々の母校。

変わったのか変わってないのか。




昔から後輩には気を配ってたけど、引退して卒業しても、まだ変わらないな。

気になって仕方ない。





……まぁ、クリスと美雪に発破掛けといたから大丈夫だったな。








美雪『止めない。』





……アイツも人の事言えねぇよ。


散々、俺の事ばあちゃんに似てるとか言ってたけど、なんだかんだで美雪が1番似てる。


本人は性別が同じだからとか言ってたけど、そんなんじゃない。





矯正されたせいもある。

出で立ち、佇まい、立ち振る舞い、細かい所作。



あの堅物によく似てる。




頑固なとことか、融通のきかないとことか。






あーもー！


仲を取り持つほうが大変なんだよ！


引き合わせてやったのに、あの言われよう。



巫山戯んな！ もっと感謝しろ！






Prrrr





？ 誰、………げ






陽良「もしも『あ！ 陽良！ 今いい？』………うん。」





………相変わらずの、





『ごめんねぇ、美雪の様子見に行かせて、』



陽良「それは大して問題じゃないよ。

久しぶりに顔見に行きたかったし。」



『ならいいんだけど、』






緩い口調。

喋ってる雰囲気は兄さんそっくり。



いや、逆か。

兄さんが似たんだ。






『……それで、美雪は、』



陽良「変わりなかったよ。元気にやってるみたい。」




『よかったぁ、』







………月一で寮母さんにプライベートな電話掛けて聞いてるだろうに。


父さんも母さんも、兄さんも。



どうしてこうも美雪に対して過保護なんだ？






『陽良？』



陽良「あぁ、ごめん。聞いてる。」






あの中で末子として育った割には、相当しっかりした人間に育ったなぁ。


どう考えても、ばあちゃんのあの厳しい教育の賜物だろうな。





『陽良も、気をつけてね。』


陽良「あぁ。じゃあ、」





＿＿まぁ、あの一件もあるんだけどな、






………。


さてと、







Prrrr




『はい、』



陽良「あ、もしもし。桜咲 陽良です。」



『今日は予定通り来れそうかい？』



陽良「はい。いつもすみません。」



『構わないよ、君が気にかけることでは無い。』



陽良「…ありがとうございます。」






心配事が多すぎる。


若白髪通り越して禿げそうだ。




そんな事をよそに、グラウンドでは懐かしい試合前ノックが始まった。

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