天才少女の過去を知る者はいない 6

第246話 自由人 ページ8

美雪side





ほとぼりも冷め、何時もの空気に戻った。


東さん、ボール避けるの下手だったなぁ。

現役の時、当てられた事ないんだろうか。






陽良「美雪！」



美雪「！ もう帰るの？」



陽良「あぁ。前日に“タンコブ”がいるのもアレだろ？」




………。



“タンコブ”って、


先輩をそんな扱いする人なんて………、




…………。





……居たな、一人。








沢村「ﾍｸｼｯ」←









美雪「ギャラリーに混ざって観とけばいいのに。」



陽良「わりぃが、予定があるんだよ。

また今度見に来るわ。
んじゃ、他の奴らにはよろしく言っといてくれ。」




美雪「わかった。 気をつけてね。」




陽良「あぁ。」






帰ろうと、足を変えた時、ふと動きが止まった。


ゆるりと、面持ちが変わった。

その表情は、あの城の女主人によく似ている。






陽良「美雪、お前なら止めるか？」






誰を、と聞きたかったが、それは聞いてはいけないと直感で思った。







美雪「止めない。

そう決めたのなら、他人が干渉していい所じゃない。」





そう答えると、お兄ちゃんは腰に手をあてて、深いため息をついた。


……何で？





陽良「まぁ、お前らしいな、」ﾎﾞｿｯ





？ 何言って、






陽良「んじゃ、またな！」



美雪「あ、うん。」






………自由人だな。


ここに、あの犠牲者があまり居ないことを祈ろう。









ﾁﾘ







『＿＿＿、覚えとけよ！』







!!?







な、に………？


今の、は……




お兄ちゃんのその姿と何か重なった。


一瞬、ふっと何かの記憶が出てきた感じがしたけど、





思い出せない。



思い出せないって事は、正直どうでもいい事だったんだろうね。









藤原「桜ー！ こっち手伝って！」




美雪「！ はいっ!! 」







………気のせいだよね。




お兄ちゃんの阿呆な頃を思い出しただけだ。



きっと、

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