検索窓
今日:9 hit、昨日:9 hit、合計:13,301 hit

第245話 狡い人 ページ7

クリスside








沢村のカットボールの一件から程過ぎた後。




陽良「ゲ、もうこんな時間か。」


クリス「何か予定でも?」


陽良「予定っつーか、何て言ったら適切なんだろうか……。


一応、人と会う予定ではあるけど、」





この人が言葉を濁すという事は、その人物はアキさんにとって相当厄介な人なんだろう。


眉間に皺も寄ってる。

相当会いたく無いのだろう。






陽良「それより、クリス。肩の調子は順調か?」



クリス「はい。今年中には選手復帰出来るほどには、」



陽良「そうか。来年が楽しみだな。」






グラウンドを見つめ、何処か静観しているよう。



去年のチームの柱の一人。


今は、六大学野球界の期待のルーキー。





クリス「アキさんは、何処までを目指しているんですか?」



陽良「プロ、て事か?」



クリス「そこも含めて、です。」



陽良「………。


誰にも言うんじゃねぇぞ。

“俺にとって”の野球は、終わったんだ。
もう、随分前にな。



俺は、多分、兄さんみたくなれない。」






思わぬ回答に一瞬戸惑いを覚えた。

寂しげな横顔に、畏怖とも憎悪とも言えぬ何かが映っていた。




__それよりも、“何処で”?







陽良「クリス、」






……何時もの、眼差しだ。


心を掴んで離してくれやしない。

けど、柔らかく温かい。






陽良「……お前、気づいてんだろ?」




ドッ




クリス「な、にを、」




陽良「薄々勘づいてるだろ。

___“アイツ”に違和感ある事、」






心臓に変な動機が生じる。

冷や汗が流れる。




冷ややかな視線。

まるで、喉元にナイフでも当てられてるような感覚。








「……ま、別にお前は“全部”知ってる、てわけじゃないだろ。


知ってるからって、どうこう言うつもり一切ねぇから。」






一瞬で、“何時も”のアキさんに戻る。


ふっと、体から力が抜ける。







陽良「なあ、クリス。」





………?





陽良「コレは、“先輩”としてじゃない。

“__”として、お前に頼みがある。」






……狡いな、この人は、


どんなときでも。





陽良「______…」





滅多に人を頼らない。

むしろ、信じられないぐらい、色々背負ってるくせに、




『貴方の頼み事、誰が断れるんですか?』







クリス「分かりましたよ。」






本当に、狡い人だ。

第246話 自由人→←第244話 カットボール



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (6 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
15人がお気に入り
設定タグ:ダイヤのA , 過去 ,   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

うたプリ大好き?(プロフ) - 続き楽しみにしています! (2020年3月26日 11時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
しろうさぎ(プロフ) - ありがとうございます!これから辛い場面になりますが、ご満足いただけるような物を書けるように頑張ります。楽しみにして頂けると幸いです。 (2019年12月8日 21時) (レス) id: 92f43ae53d (このIDを非表示/違反報告)
江戸川らん - 続編おめでとう!決勝戦だと哲さん達が寂しくなりますね…。夏休みの薬師戦では薬師との絡みも見てみたいし、落合コーチの絡みも見てみたいですね…!楽しみにしてます (2019年11月25日 18時) (レス) id: f3c6ebb892 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しろうさぎ | 作成日時:2019年11月17日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。