天才少女の過去を知る者はいない 6

第268話 新しいコーチ ページ45

美雪side






「え？ 新しいコーチ、ですか？」



昼休憩の合間、突然落とされた爆弾のように、衝撃が走る。

たまたま氷の確認に来ただけなのに、私はここに居ていいのだろうか、



片岡「いつも来てもらっているOBのコーチではなく、専属のコーチとして来てもらうことになった。」



？ だとしたら、少しおかしい。

どうして、このタイミングでそうなったんだ？



片岡「あの神奈川の名門、紅海大相良で20年コーチを務め、前任の山本監督の勇退と共にチームから退いたんだろうだ。」



ますますおかしい。

お兄ちゃんに聞いた話では、コーチも監督も、そのほとんどがOBだって言っていた。


よりにもよって、神奈川の強豪。

プロに匹敵するほどの練習をするってうわさもある。


どうして、



片岡『お前らしいが、お前もか。』



！ どうして、今、その事を過ぎって、



片岡「とにかく夏休みの間にチーム全体のレベルアップを！

秋の大会まで各自課題を持って挑むこと!!」


全「はい!! 」




……少し、嫌な予感がする。


どうか、この予感が外れて欲しいと、矛盾した考えが渦巻いた。





……………

……




ぐるぐると同じ思考を繰り返す中、



？「おや、君は、」



あ、あの人。

？ どうして監督方と居られて……





“新しいコーチ”


“紅海大相良”


！







片岡「新しく来てもらったコーチの方だ、桜咲。」



美雪「！ 初めまして、マネージャーの桜咲と申します！

よろしくお願い致します。」


？「あの時はご丁寧にどうも。落合と言います。」





そうだ、元 紅海大相良高校でコーチを務めていた人だ。

ベンチを写した時に、居たあの人だ。



だから、妙に見覚えがあったんだ。




落合「君、確か髪はまだ長かったはずだけど、失恋でもしたの？」




？




美雪「失恋をするほど大層な事はしてません。

髪を切ったのはただの気分転換です。」





………なんでこの人が私の前の髪の長さを知っているの？

この人がここに来始めて、１ヶ月もたってないはず。



本当に、何かしたのだろうか。





美雪「申し訳ありませんが、ここで失礼しても宜しいでしょうか？」


落合「仕事の途中だったか、構いませんが、」


片岡「引き止めて悪かったな。構わん。」


美雪「はい。ありがとうございます。

それでは、失礼致します。」





……考え事が多すぎる。

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