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第262話 孫 ページ37

椿side






母「もう帰るの?」


美雪「ごめん、明日にはもう始まるから。」



東京に居る1番下の孫。

帰省2日目の午前中に帰省から戻る。



美雪「短い間でしたが、お世話になりました。」


椿「ほんま、忙しい人やな。もうちょっとゆっくりしていけばええのに。」


美雪「やることが残ってましたので。」




未だに取れない敬語。

それでもだいぶ砕けた物言いにはなってる。


ふわりとした洋服に身を包んでいながらも、いかにもウチの人間であるという風な品格がある。


腐っても鯛。

骨の髄まで染み付いとんやな。




椿「時間の件はほんまにええんか?」


美雪「はい。それが私の覚悟なので。」




融通の利かへん頑固者。

誰に似たんだか。


この子の覚悟なら、ウチもそうせんといかへんし。





椿「ほな、気をつけてな。陽良にもよろしゅうな。」


美雪「はい。」





我が家を後にする美雪。

やれやれと思いつつ、自室に戻る。




祖父「椿ちゃん、今ええか?」


椿「構いやせんよ、お前さん。」





珍しくきちんと着物をきた人。

何時もだいたい作業着なんに。




祖父「美雪はますます椿ちゃんに似てきたなぁ。」


椿「そう思いますか、」




それは前々から感じていた。

あの子を見ていると、昔の自分を見ているようだった。


昨日、ここに入ってきた時はえらい吃驚した。


桔梗色の絽生地に流水紋が入ったものに、白に近い桜色の帯やったやろうか。

撫子が入ってたのはよう覚えてる。


あれは、昔の自分そっくりや。

鏡越しで、生き写しのようやった。




椿「嫌な気分でしたよ。あの頃の自分を見てるようでした。」


祖父「そうやろうなぁ。わしからしたら、初めてあった頃の椿ちゃんに会えたようなもんやったからなぁ。

一瞬見間違えたし。」




雅さんやウチのバカ息子に似ていると言うより、ウチに似てると言った方がええやろ。

だからこそ、力が入ってしまう。

苧環に込めた意味も含め、全部が振り返してくる。




祖父「まあ、茶でも飲もうや。」

椿「…そうやな。」




苧環は、一旦忘れなあかん。




椿「……このお茶受けどないしたん?」


祖父「美雪が買うてきたんやけど、まさか、」





前言撤回。

不安事は1つたりとも消えとりゃせん。

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作品ジャンル:恋愛
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き楽しみにしています! (2020年3月26日 11時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
しろうさぎ(プロフ) - ありがとうございます!これから辛い場面になりますが、ご満足いただけるような物を書けるように頑張ります。楽しみにして頂けると幸いです。 (2019年12月8日 21時) (レス) id: 92f43ae53d (このIDを非表示/違反報告)
江戸川らん - 続編おめでとう!決勝戦だと哲さん達が寂しくなりますね…。夏休みの薬師戦では薬師との絡みも見てみたいし、落合コーチの絡みも見てみたいですね…!楽しみにしてます (2019年11月25日 18時) (レス) id: f3c6ebb892 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しろうさぎ | 作成日時:2019年11月17日 21時

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