検索窓
今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:13,290 hit

第261話 故郷 ページ36

美雪side





祖父「そんでな、椿ちゃんは………」



一方的に話されてるからまだいいけど、そろそろキツい。
他人の惚気話など、時間が経つにつれ、だんだん辛くなってくる。

そもそも、だんだん同じことを言い始めるからだ。




母「お義父さん……あら、美雪も居たの?

そろそろお昼ですよ。」



祖父「おや、そんな時間か。ちぃと喋りすぎた。」





……解放された。

ありがとう、お母さん。





……………

……





午後、日差しがキツくなって、ジリジリとアスファルトを焦がす。


日傘を片手にお使いの途中。

おばあちゃん御用達の呉服屋さんに反物を取りに行く。
今反物を頼んでるってことは、冬物なのかな。





「おや、椿は…… 失敬。どちらのお嬢さん?」


美雪「椿の孫です。」


「椿ちゃんの! こりゃあべっぴんさんに大きゅうなって!」


美雪「失礼致します、」





話掛けられるが、何故か祖母と間違えられる。
ここら辺の人達は祖母をよく知る人ばかり。

少しばかり心得はある。

しかし、万全ではない。そもそも東京で過ごした時間の方が長いから、慣れない。


なるべく人と会わない道を選び、なんとか目的地に着いた。




「御足労頂き、ありがとうございます。」

美雪「先程ご連絡があったことと思いますが、桜咲です。」

「椿はんのお孫さんですな?」

美雪「はい。」




緩い会話をしながら目的のものを受け取る。

少し涼ましてもらい、店を後にした。




帰路の途中、ふと見覚えのある景色だと思った。

どうせ手荷物増えても同じかと思って、少し寄り道することにした。



綺麗に施された石畳に、打ち水。

時代を感じる町屋。


風情が感じられ、改めて帰ってきたんだなと思った。

ここに来ても特別何かを感じることはないだろうとは思っていたが、それでも、ここは私の故郷であることに変わりはない。





「あの、すみません。ここはどう行ったらいいですか?」




そして、着物を着てるからか、地元の人に間違えられやすい。

しかも、行先ウチの店だ。

分かりにくい場所に建てるのも大概やな。




美雪「そこでしたら、地図お書きしますんで、待って貰えますか?」





こんなこともあろうかと、筆記用具を持っていた。

寄り道はちょっとじゃないな。

第262話 孫→←第260話 分かりにくい



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (6 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
15人がお気に入り
設定タグ:ダイヤのA , 過去 ,   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

うたプリ大好き?(プロフ) - 続き楽しみにしています! (2020年3月26日 11時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
しろうさぎ(プロフ) - ありがとうございます!これから辛い場面になりますが、ご満足いただけるような物を書けるように頑張ります。楽しみにして頂けると幸いです。 (2019年12月8日 21時) (レス) id: 92f43ae53d (このIDを非表示/違反報告)
江戸川らん - 続編おめでとう!決勝戦だと哲さん達が寂しくなりますね…。夏休みの薬師戦では薬師との絡みも見てみたいし、落合コーチの絡みも見てみたいですね…!楽しみにしてます (2019年11月25日 18時) (レス) id: f3c6ebb892 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しろうさぎ | 作成日時:2019年11月17日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。