第259話 決意 ページ34
美雪side
随分と使われていない私室。
なのに、埃一つ残らず綺麗な部屋。
畳、机、棚、箪笥に至るまで、全て綺麗なままだった。
椿『自分が何者であるか、』
……答えを、出さないといけない。
少しでも、気を抜いたら崩れてしまう。
箪笥を開き、大嫌いだった着物の類を出す。
稽古を付けてもらう時は勿論、それ以外の時でも着ていた。
着れば、辛い事しか思い出さない。
それでも着るのは、“覚悟”だ。
母「美雪? そろそろ行かないと……珍しいね。」
美雪「ちゃんと着れてる?」
母「うん。ばっちりよ。」
何年ぶりか分からない。
それでも骨の髄まで染み付いた教養。
改めて、私はこの家の人間何だと感じる。
美雪「……失礼致します、」
だから、逃げられない。
けど、もう逃げたくない。立ち向かう。
椿「戻ったんやな。ほな、本題行きましょうか、」
私は、何者か、未だ分からない。
だから、断定しに来たんじゃない、先延ばしをしに来たんだ。
美雪「私は、青道高校1年の桜咲 美雪です。
“今”は、この家の跡取りでも、後継者候補でもありません。
ですから、青道高校に在籍している間は、こちらのことには関わり難いです。」
椿「……それで? どないしはるん?」
美雪「……選手としての踏ん切りはついています。
私は、彼らを支えたいです。
選手ではなく、サポーターとして。
これ以上、干渉しないでいただきたいです。」
体が強ばる。声が震える。
強気でいかないと、呑まれる。試されてるんだ、今。
美雪「それで、納得は頂けないと分かっています。」
これは、賭けだ。
しかも、私自身の実力で証明が出来ないうえ、人任せだ。
美雪「あと、3ヶ月。時間をください。
高校の秋大会で、私が彼らを支えられていないと見なされれば、潔く、青道高校を去り、こちらの高校に編入致します。」
椿「条件は、ウチが決めてもええんか?」
美雪「はい。」
椿「……。」
沈黙が怖い。
けど、条件を提示しようとしてる辺り、提案自体は受け入れて貰えてる。
どんな条件を提示されるか分からない。
けど、こうでもしないと、あそこには居られない。
椿「アンタの覚悟はよぉ分かった。」
美雪「……へ?」
椿「そこまで賭けんでもええものを。」
何を言って、
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き楽しみにしています! (2020年3月26日 11時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
しろうさぎ(プロフ) - ありがとうございます!これから辛い場面になりますが、ご満足いただけるような物を書けるように頑張ります。楽しみにして頂けると幸いです。 (2019年12月8日 21時) (レス) id: 92f43ae53d (このIDを非表示/違反報告)
江戸川らん - 続編おめでとう!決勝戦だと哲さん達が寂しくなりますね…。夏休みの薬師戦では薬師との絡みも見てみたいし、落合コーチの絡みも見てみたいですね…!楽しみにしてます (2019年11月25日 18時) (レス) id: f3c6ebb892 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろうさぎ | 作成日時:2019年11月17日 21時