第251話 脆さ ページ14
美雪side
美雪「本当に、今大丈夫なの?」
綾乃『ちょっとぐらい大丈夫だよ。
心配性だね。もはや私のオカンだよ、美雪。』
寝付くのもままならず、ふと電話したくなった。
連絡したら、OKしてくれた綾乃に感謝だ。
綾乃『美雪も、ちょっと不安になった?
そんなたまじゃないって、思ってたけど、』
美雪「さすがにね。
戦う側の経験ならあるから、どうとでもしようがあるけど、こっち側はまだ、」
綾乃『そっか、応援しかできないってのはつらいよね。
美雪らしい、』
美雪「そうかな、」
その不安は、彼らを信頼してないってことを暗に示しているようだ。
信頼していないわけじゃない、怖いんだ。
無数のシュミレーションの先の未来、考えたくもないその先まで辿り着く。
頭の中での出来事ならいい。
もし、目の前にその“未来”が目の当たりになったら……
美雪「足がすくんで、……怖いんだ、
大切な人が、傷ついているところを見るのが。」
綾乃『うん、』
美雪「考えちゃいけないってことも分かってる。
けど、辛いの。
何もできない自分が憎い、」
綾乃『うん、』
自分が傷つくより、よっぽど怖い。
痛くて痛くて、心臓が止まってしまいそう。
綾乃『優しいね、あんたは。』
美雪「そう? ただの臆病者の独り言だよ、」
綾乃『あんたねぇ、』
そこからなぜか、笑いが溢れる。
なんか、フッと力が抜けた。
どうしてか、お兄ちゃんが言ってた事が分かる気がする。
高校生の時、大事な試合前とかにはよく電話していた。
見栄っ張りで、強情なくせに、肝心のところで脆くなる。
だから、心の支えを作るため、無駄な力を抜くために誰かに話したがっていた。
綾乃『明日、だよね? 決勝戦、』
美雪「うん。綾乃は? 」
綾乃『私はもう少し先。』
美雪「そっか、」
無駄な力が抜けたら、急に眠気が襲ってきた。
せっかく楽しくなってきたのに、
綾乃『んじゃ、そろそろヤバくなってきたから、』
美雪「うん、分かった。ありがとね、綾乃。」
綾乃『いえいえ、またね、』
美雪「うん、」
通話終了ボタンを押し、携帯を閉じる。
ふぅ、と息を吐き、グッと身体を伸ばす。
美雪「ついに、明日だ、」
憎たらしいぐらい澄んだ空を見上げて、腹を括った。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き楽しみにしています! (2020年3月26日 11時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
しろうさぎ(プロフ) - ありがとうございます!これから辛い場面になりますが、ご満足いただけるような物を書けるように頑張ります。楽しみにして頂けると幸いです。 (2019年12月8日 21時) (レス) id: 92f43ae53d (このIDを非表示/違反報告)
江戸川らん - 続編おめでとう!決勝戦だと哲さん達が寂しくなりますね…。夏休みの薬師戦では薬師との絡みも見てみたいし、落合コーチの絡みも見てみたいですね…!楽しみにしてます (2019年11月25日 18時) (レス) id: f3c6ebb892 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろうさぎ | 作成日時:2019年11月17日 21時