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第28話 ページ30

「迅さんおかえり〜」


しばらく陽太郎と遊んでいると、二階から声がかかった。


メガネをかけたその人は、紙袋を抱えながら「あれっ?もしかしてお客さん!?」と慌てる。


「やばい!お菓子ないかも!待って待って、ちょっと待って!」


バタバタと奥のほうに消えていくその人を見送った後、迅は紳士っぽく四人をエスコート。


そして「ちょっと用事があるから」といつものにやけ顔でどこかへ行ってしまった。


通されたのは応接室というよりリビングに近い部屋。


Aはここに来慣れているのか、三人が座ったソファの背もたれの部分に腰かける。


暫くして先程のメガネの人が、三人分のお茶とお菓子をお盆に載せて現れた。


「どらやきしかなかったけど・・・でもこのどらやきいいやつだから、食べて食べて」


並べられた三つのどらやきを見て、Aさんの分は・・・?と修が振り返る。


するといつの間に用意したのか、Aは既に湯気のたっているマグカップを傾けていた。


「アタシ宇佐美栞。よろしくね!」


フレンドリーにそう話す宇佐美に、三人はペコリとお辞儀をする。


次の瞬間、小さな手がテーブルの横からのびて、遊真のどらやきを奪っていった。


その一連の動作を眺めてから、遊真は陽太郎に容赦ないチョップをかます。


「おぶっ」


「わるいなちびすけ。おれはこのどらやきというやつに興味がある」


狙っていたどらやきを奪還され、悔しそうに歯噛みする陽太郎。


そんな陽太郎の目の前に、新しくどらやきが差し出された。


「よかったら・・・わたしのあげるよ」


陽太郎は千佳の手からどらやきを受け取り、幸せそうに頬張る。


「・・・きみかわいいね。けっこんしてあげてもいいよ」


「えっ・・・!?結婚・・・!?」


お子様の戯言なのだろうけど、さすがに驚くものは驚く。


衝撃的な告白に、失礼ながらAはクスクスと笑っていた。


「千佳ちゃんは優しいねぇ。あと、陽太郎はおやつ食べ過ぎ。太っちゃうよ?」


呆れ顔でAがそう言うと、陽太郎はドヤ顔でAに言い返す。


「いっぱいたべて、おおきくなって、いつかAさんをおいこすのだ」


「横幅で追い越されても嬉しくないかなぁ・・・」


せめて縦幅で頑張ってね、と笑うAの身長は162cm。


何年か経って陽太郎が成長すれば、追い越せない数字ではない。


そんな他愛もない会話で笑うAの周りは、今日も平和であった。

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設定タグ:ワールドトリガー , 迅悠一   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:シロナ | 作成日時:2015年7月20日 10時

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