『ワールドトリガー』私の彼氏は黒トリガー (ページ21)

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第19話ページ21

呵々大笑。

その表現が一番正しいと思った。

白髪の少年、空閑遊真の目の前にいた女性は、弧月を鞘から抜いて地面に突き立て、笑っていた。

攻撃を仕掛けられているのかもしれないと考えて身構えた遊真も、怪訝そうな顔で首を傾げる。

「いやぁ、ごめんごめん。そっか、友達なんだね」

ひとしきり笑って落ち着いた後、Aは遊真にそう言った。

どうやらこの女性に戦意はないらしい。

そう感じた遊真は身構えるのを止め、先程までの“話し合い”の態勢をとった。

「ボーダーの友達が近界民・・・なるほど。秀次には信じられないような話だね」

でも真実なんでしょ？とAが修のほうを向くと、修はこくこくと頷いた。

足元で三輪の舌打ちが聞こえたような気がしたが、Aは構わず話を続ける。

「トリオン兵の駆除と三門市の安全を守ることがボーダーとしての責務なんだけど、

　見たところきみが市民に危害を加えるような感じはないし、こちらに敵意もない。

　・・・まぁ、降りかかった火の粉は武力で払う主義みたいだけどね。

　単刀直入に聞こうか。きみの目的は何？」

Aは真っ直ぐに遊真を見つめ、答えを待つ。

一拍おいて遊真が口を開いた。

「人を捜してるんだよ。ボーダーにいるっていう知り合いをね」

返ってきたのは遊真の声ではなかった。

その場にいた全員が声のした方・・・ホームのほうに視線を集中させる。

そこには三輪隊の狙撃手二人と黒い浮遊物体を連れた迅が立っていた。

「おっ何だ遊真、けっこうやられてるじゃんか」

油断したのか？と問いかける迅に、「いや、ふつうに手強かったよ」と遊真が返した。

「は・・・？え、何、迅の知り合い？」

二人の親しげな会話を聞いて呆けた顔になったAが、迅に問う。

その反応に迅は、「あれっメールで言ってなかったっけ？」ととぼけた。

「いや、まったく聞いてない。『メガネくんの友達に～』としか書いてなかったし」

既に知り合いならこんな回りくどいことしなかったのに、と恨み言のようにAが言う。

迅は、いやぁ悪かった、と呟きながら自分の後ろ髪をがしがしと掻いた。

咎めたり咎められたりしている二人の顔は、笑っている。

お互い出てくるのは言葉だけで、悪びれてないし、怒ってもいないようだった。

この二人ってどういう関係なんだろう・・・と修は終始、不思議そうに二人を眺めていた。