『ワールドトリガー』私の彼氏は黒トリガー (ページ14)

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第12話ページ14

「うーん・・・」

眉間に皺を寄せ、少年は腕組みをした。

「どうした？早くしないか」

「・・・ちょっと待って下さい、考えてるんです」

不敵に笑う女性の手には、数枚のカード。

「考えても変わらんだろ。さぁ」

「えー・・・じゃあ、これでっ！」

しゅぱっ、と綺麗に一枚のカードを引き、絵柄を見てから落胆する少年。

そのカードには、女性と同じく、不敵に嗤う道化師の絵が描かれていた。

「あっはっは！まだまだだな、環！」

「騙しましたね、紗夜さん・・・！」

「でもまぁ、ポーカーフェイスも出来ないようでは、任務に支障が出るからなぁ」

「分かってますよ・・・もう一戦、お願いします」

二人はまるで宿命のライバルのようにバチバチと火花を散らしていた。

「・・・ねぇ、まだやるの？」

呆れ顔で二人の様子を眺めていた少年が、眠たそうに尋ねる。

「本部に召集かけられて、ヒマなのは分かるけど・・・

　ヒマならさ、二人とも模擬戦の相手とかしてくんない？」

ちょうどいま相手いなくてさー、と少年が退屈そうにぼやいた。

「・・・これは暇つぶしなどではないぞ、緑川。

　戦闘時に表情を無にできるスキルは、とても重要なものだ」

「ポーカーフェイス、難しいです・・・ってまたジョーカー！？」

紗夜にさらりと反論された緑川は、「あ、そう」と興味なさげに呟いた。

「・・・でもなんで環先輩なの？同じ部隊でもないのに」

「何を言っているんだ、私たちは・・・」

同じ部隊だぞと返しかけて、あっと口をつぐむ。

ボーダー特殊任務部隊の存在およびそれに属する隊員の情報は絶対機密。

城戸司令と根付メディア対策室長に散々言われたことだ。

実際この機密事項は今まで一度も破られたことはない。

特殊任務部隊の隊員は、「お互い仲のいいソロ隊員」として周りに認識されていた。

「あ、いや。私たちは友達だから、部隊も何も関係ないぞ？そうだろ？環」

「は・・・はい、そうですね。紗夜さんと僕はお友達です！」

首を傾げて次の言葉を待っていた緑川に、紗夜と環は必死に取り繕った。

多少の怪しささえあったものの緑川にはどうでもいいことらしく、「そっかー」と受け流される。

そのリアクションに、二人は安堵のため息をついた。

暫くして、本部隊員全員に出動命令がかかる。

出動内容は、“害虫駆除”。

ラウンジにいた三人は一度顔を見合わせ、待ってましたと言わんばかりに駆け出した。