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第22話 ページ24

「あー、負けた負けた!しかも手加減されてたとか、もー」


ヤケになっているのか少々乱暴に身を投げ出し、「さぁ好きにしろ!」と無防備になる米屋。


「殺そうとしたんだ。殺されても文句は言えねー」


その言動を見てAは米屋らしいなぁ、とため息をついた。


遊真はそれに飄々とした態度で返す。


「べつにいいよ。あんたじゃたぶんおれは殺せないし」


そういうことをさらりと言い放つ遊真も遊真だが、それに対して


「マジか!それはそれでショック!」とおどける米屋も米屋だ。


「・・・じゃあ今度は仕事カンケーなしで勝負しようぜ!一対一で!」


もちろんAさんも!と期待した目で見てくる米屋を、「また今度ね」と受け流すA。


そんな大人な対応に、米屋はちぇー、と口を尖らせた。


「・・・ふむ。あんたは近界民、嫌いじゃないの?」


不思議に思って問いかける遊真に、米屋はいつもの人好きのする細い目で答える。


「おれは近界民の被害受けてねーもん。正直、別に恨みとかはないね」


そう言いながら奈良坂たちのいるホームへと歩を進める米屋は、「けど、」と話を続けた。


「あっちの二人は近界民に家壊されてるからそこそこ恨みはあるだろうし。


 今飛んでった秀次なんかは姉さんを近界民に殺されてるから、


 一生、近界民をゆるさねーだろーな。」


他人の口から喋ってもいい過去なのかは知らないが、米屋の言葉がちくりと心を痛ませる。


三輪の過去を聞いたのはこれで何回目だろう。少なくとも片手は超えていると思った。


近しい人の死ほど辛く悲しいものはない。


それでも忘れずに抱えて生きていくのが、せめてもの弔いであり供養なのだ。


そう思いながら、Aは左手で無意識に自分の黒トリガーに触れていたことに気が付いた。


小さく苦笑いしつつ、自分が先程まで使っていたノーマルトリガーを右手でポケットに仕舞う。


その一連の動作を見て、奈良坂たちと話していたはずの迅が少しだけ眉をひそめた。


そんな二人の微かな行動に気づく者はなく、三輪隊は本部へと帰還し始める。


「じゃあな!次は手加減なしでよろしく!」


そう言って戻っていく米屋の背中は、心なしか嬉しそうだった。

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設定タグ:ワールドトリガー , 迅悠一   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:シロナ | 作成日時:2015年7月20日 10時

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