フェアリーテイル〜大罪魔法と神魔の子〜

第41話〜番外編・日の出の国、ジパング8〜 ページ44

「・・・ここ、どこ？」


ギルドの地下にある、怪しげな雰囲気漂う小さな部屋。


そこに私と少女・・・エンヴィタはいた。


「“転生室”・・・といったところか。
　その名の通り、人間を悪魔に転生させる為の部屋だ。」


「なんで、そんな所に・・・わたしを？」


訝しげに尋ねてくるエンヴィタの隣にしゃがみ、目線の高さを合わせる。


「率直に言おう・・・私は、人を悪魔に転生させることが出来る魔法、“大罪魔法”の使い手だ。
　この魔法で転生すると、“自分の一番大切なもの”を代償に生まれ変わることができる。
　ただ、転生できるのは7人だけ。・・・その時代における、“罪の素質”を持った者のみ。
　・・・お前には、その“素質”がある。それも、相当な強さの“素質”が。」


「・・・悪魔に・・・転生？
　“一番大切なもの”を代償に・・・生まれ変われる・・・本当に、できるの・・・？」


どうやら、エンヴィタには悪魔転生に対しての抵抗がないらしい。


自分にとっての“一番大切なもの”が何なのかを、一生懸命考えている。


「・・・できる。
　“罪神”の名にかけて、私が保障しよう。
　それと、“一番大切なもの”は・・・捧げるものではなく、奪われるものだ。
　そこは、覚悟しておけ。」


「でも・・・うん。大体、想像はできるし・・・
　それに、もう・・・覚悟もできてる・・・・・・
　悪魔でも、かまわない。わたしを助けてくれたのは・・・お姉ちゃんだから・・・
　お姉ちゃんの役に、立てるなら・・・」


決心がついたのか、エンヴィタがまっすぐに私を見つめた。


「わたしは生まれ変わるんだ・・・今までのわたしなんて、もう要らない！！」


「・・・よく言った、エンヴィタ。お前の心、しかと受け取ったぞ。
　少し時間がかかると思うが・・・我慢してくれ・・・！！」


部屋の中央・・・大きな魔方陣の真上にエンヴィタを立たせ、呪文を唱える。


「我・・・罪を司り・・・現世と来世を繋ぐ者なり・・・
　創造神ゼウシスよ・・・神の賜りにより、この者を転生の光へと導け・・・
　罪神が命じる・・・“嫉妬の悪魔”よ！我に力を・・・この者に、新しき未来を！！」


詠唱が終わると、魔方陣から桃色の光・・・回復魔法とは違う光が、エンヴィタを包んだ。


「転生魔法・・・“七つの罪(セブンス・クリミナル)”！！」


瞬間、直視できない程の閃光が私達を襲う。


閃光が収まり目を開けた時・・・そこにいたのは“悪魔”だった。

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