検索窓
今日:25 hit、昨日:6 hit、合計:30,741 hit

第29話〜番外編・ある聖夜の物語2〜 ページ32

〜in西舎の二階・グリーディスの部屋〜


少年は聖夜が嫌いだった。


あのころの華やかさを、思い出させてしまうから。


両親の温かさを、思い出させてしまうから。


そして・・・


あの時の悪夢を、思い出させてしまうから。


窓から見下ろすことのできる宴会場では、ギルドの仲間たちが楽しそうに騒いでいる。


だけど少年は、ひとりでここにいた。


なんとなく自分が、あそこにいてはいけない気がしたからだ。


あの時も、ちょうどパーティーの最中だった。


そう、聖夜を祝う・・・クリスマスパーティー。


「あれから・・・一年か・・・」


なんで自分だったのだろう。


なんで自分だけが・・・生きているのだろう。


“生き残った罪”が、少年の身に重くのしかかる。


「確かこういうのって・・・“サバイバーズ・ギルト”っていうんだっけ・・・」


Aが教えてくれた。


こういった大災害から、奇跡的に生き残った生存者が抱える“精神の闇”・・・


それが、“サバイバーズ・ギルト”だと。


正直、それを教えてもらったところで、何も変わらない。


普段こそ、誰にも悟られないようにできるだけ自然にふるまっているのだ。


この闇を気取られない為には、パーティーに出ないのが得策。


そう考えて、ここにいる。


・・・寂しさを、押し殺して。


本当はあの場所で、皆と笑っていたい。


本当はあの場所で、Aの笑顔が見たい。


本当はあの場所で・・・“ドレス姿の少女”・・・プライディアと、話がしたい。


「・・・なんて、ワガママ・・・かな。」


少年が苦笑いをこぼしたのと同時に、部屋の扉がノックされた。


「・・・いる・・・のでしょうか?グリーディス。
 心配で、また誘いに来てしまいましたの。」


扉の向こう側でも、プライディアが苦笑いしているのがわかる。


「(これで・・・何度目の誘いだろう・・・?)」


おそらくざっと14回目。ちなみにこれは昨日から始めたカウントだ。


「・・・申し訳ないけど、行く気は・・・ないよ。
 君だけでも、楽しんできて。」


「・・・・・・・・・・・・・嫌です。」


長い沈黙の後、少女がぽつりと呟く。


「どうして?君は君で楽しんでくればいい。
 こんな引きこもりのことなんか忘れて「嫌です」・・・?」


少女が扉に寄り掛かる音がした。


「聞いてください・・・グリーディス・・・」









プライディアの、“説得”という名の“独白”が始まった。

第30話〜番外編・ある聖夜の物語3〜→←第28話〜番外編・ある聖夜の物語〜


ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (20 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
40人がお気に入り
設定タグ:フェアリーテイル   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

シロナ(プロフ) - ユノさん» ありがとうございます!コメントを頂くとすごく励みになります・・・更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2014年12月14日 14時) (レス) id: 16408a5fe0 (このIDを非表示/違反報告)
ユノ(プロフ) - 私も7つの大罪シリーズ好きです!!この小説面白いですよ!更新頑張ってください!! (2014年12月14日 14時) (レス) id: 90244c805f (このIDを非表示/違反報告)
シロナ(プロフ) - 紫さん» ありがとう!頑張って書くね!!なんかリクエストあったら教えて! (2014年12月1日 21時) (レス) id: 16408a5fe0 (このIDを非表示/違反報告)
- すっっっごくおもしろかった!!続きが楽しみ!また学校でもいろいろ話そう! (2014年11月29日 3時) (レス) id: d55e707bcf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:シロナ | 作成日時:2014年11月9日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。